文系理系どっちを選ぶ?決め手は数学と古典だ!「好き」だけではない選択のヒント
勉強法に関するアレコレ、学校での人間関係、不規則になりがちな生活習慣、はじめて挑む受験…学生の皆さんや保護者の方の不安や心配は尽きないですよね。そんな勉強や受験のお悩みに個人別指導塾ブレーンで指導する吉川が分かりやすくお答えする連載企画の第3弾。
さて、今回のご相談は…?
第一志望の公立高校に入学した高1生のHさん。そろそろ2年生以降の選択科目の希望調査票の提出期限が迫ってきた…!すでに学校では説明会もあったけど…文系か理系かどちらがいいのか迷ってしまって決められません。
このあいだ高校生になったばかりなのに、もう次の進路のことを考えないといけないなんて…。文系と理系どっちを選んだらいいのかわかりません!
そうだよね!急に一人で決めろって言われても困るよね!
じゃあ、今回は文系理系のどちらにするか迷っているHさんに、3つのヒントを紹介します!
一人で考えこむのは効率的ではありません。ぜひ保護者の方やきょうだい、友達、そして学校の先生や塾講師と一緒に考えてみてくださいね♪
文系理系、後悔しない選び方のヒント
Hさんがいうように、高校受験合格に喜んでいたのはほんの数ヶ月前。その頃は高校に受かることこそが何より大きな目標であり、「夢」だった人は多いでしょう。
でも夢や目標は、一つ叶えればまた次が待っているものです。いつまでも余韻に浸ったり、いわゆる“燃え尽き症候群”になったりしているようでは、せっかく叶ったことそのものを棒に振ってしまうこともありえます。
さぁ、気持ちを切り替えて、新しい次元に進みましょう!
文系か理系かの選択は、小さい頃の自分を思い出し、未来の自分を思い描くことから始まります。
【理系のポイント】数学に自信がありますか?
理系科目ときいて真っ先に思い浮かぶのは数学ですね。文理選択の時期にある高1生は、数学I・数学Aを少しずつ学んでいる最中かと思います。
さて、ここで質問です。
高校数学を学んできて、いままでの勉強の手応えはどうですか?
きっと、中学数学と比べて、公式の多さと複雑さ、計算量の多さ、そして途中式の重要性と難しさを感じておられることと思います。もちろん、これからどんどん内容はレベルアップしていきます。
とくに、計算力に自信がある人にとっての落とし穴となるのが「途中式」です。暗算でどんどん計算しようとする分、式に書き記すことに抵抗感があり、立式すること、そしてそれを書くことを雑に扱う傾向が後を立ちません。
結果として記述式答案で大幅に減点され、得点に結びつかないことが連発します。
高校生になってもいつまでも自分の計算力を過信していると、いくら数学が好きであっても、理系数学としては通用しなくなります。
とくに中学生のころ、字が乱雑で学校のテストで減点されたことのある人、さらにその減点を素直に受け止められずに逆ギレするようなお子様気質のある高1生は、大学受験生になっても同じ過ちを繰り返します。
好き、頑張ってみたいという思いと同じくらい、客観的に自分の数学の実力をつかみ、自分の強みと弱みを知った上で、選択科目を決めていきましょう。学校の先生、塾の先生に、あらためて数学の評価を聞くのも重要です。
これからどんどんレベルアップする数学。単に「好き」だけでは通用しなくなってきます。
自分の計算力を過信せず、客観的に「数学の実力」と「数学に対する思い」を評価してみましょう。
【文系のポイント】古典はこの先も頑張れますか?
国語は言わずとしれた文系科目の代表ですが、大切なのは、「国語」じゃなく「古典(古文)」であることです。(詳しくは後述します)
皆さんの中には、中学生でしっかり古典を勉強したことがないと言う人や、定期テストは古文漢文の文章を丸暗記して、ついでに現代語訳も丸暗記して乗り切ったという人も多いのではないでしょうか?
高校の古典学習は、土台はとにかく「文法」です。
品詞ってなに?活用が全く覚えられない、といった状態では全く歯が立ちません。
つまり、さきほどの数学同様、基本的な暗記や問題演習に今からつまずいているようであれば、もちろんこの先の克服にも相当な力が必要になります。
多くの高1生は古文で実力を上げた経験が乏しい
ここで少々やっかいなのは、ほとんどの高1生にとって、これまで古典を集中的に学習して実力を上げたという経験が乏しいことです。
中学のうちは、国語といえば漢字、説明文読解、物語文読解、文法、意見作文におもに意識が向けられ、古文漢文は後回しになりがちだったことと思います。受験問題の中で、古文漢文のウエイトが低い試験を受けた人はなおさらです。
- 漢字
- 説明文読解
- 物語文読解
- 文法
- 意見作文
古文・漢文は後回しになりがちだった
現代文の得意不得意を高1夏前後に判断するのは時期尚早
また、高校生になると現代文は以下のように学習内容が分かれます。
- 語彙(漢字語彙、カタカナ語)
- 口語文法
- 評論文読解のそのための語彙学習
- 随筆文読解のそのための語彙学習
- 小説とそのための語彙学習
- 資料文などの読み取りや意見文を書く
格段にレベルアップ!
“なんとなく国語が得意”という感覚で文系を選ぶのは危険
単純に「なんとなく国語は得意」「嫌いじゃない」「本を読むのが好き」といった感覚的な基準で、文系を選ぶには危険です。
また、中学生の学習内容からは格段にレベルアップするので、高1の夏前後で自分の現代文の実力を知るには、判断材料が少ないのです。
だから古文(古典)の手ごたえが大切。
暗記すべき内容にきちんと努力を重ねられるか、覚えた事柄と作品本文の場面状況とがリンクし、内容を追っていけるかを考えてみてください。自分の客観的な古典の実力を知るには、やはり学校の先生や塾の先生に相談してみるのがいいでしょう。
中学で国語ができたとしても、高校現代文はワケが違います。国語が得意だと感覚的に判断しないように気をつけましょう。
判断材料としては古文をおすすめ。基本的な暗記内容に努力を重ねられるか、内容を理解できるかを客観的に判断してみましょう。
【番外編】英語は文理選択の判断材料になる?
英語で判断しない文理選択ときくと、真っ先に「英語は好きだから文系かな」「英語が苦手だから理系にする」という反応をされがちです。
でも落ち着いて考えてみましょう。
文系理系どちらであっても、ほぼすべての大学入試で英語が課されます。理系だから英語が低くていいということでは決してありません。
さらに、共通テストでのリスニングの配点を考慮すると、読み書きの力だけでなく、耳で正しく情報を取捨選択する力、正しい発音で音読できる力も不可欠です。
英語はできて当たり前、努力できて当たり前、という状況に自分を置きましょう。
進路を選ぶ上で忘れないでほしい意識
皆さんに近い将来訪れる大学入試。大学は「大人として認められる年齢の人が、学問を追求する場」であることを忘れないでください。
大学は自由な時間ももちろん増えますが、だからといってラクなわけではありません。自由には責任が伴います。あくまで学問があってこそ、アルバイトや友人との時間も充実させることができるのです。
自分の“感情”を最優先にしすぎない
その「大人」としての意識や立ち居振る舞いとして覚えておいていただたいのが、「自分の感情で動きすぎてはいけない」ということです。
嫌い…やりたくない。
友達と同じクラスがいい。
好きな先生がいる授業を取りたい。
宿題が多い科目はいや…
こんな感情を私たち誰もが持っています。私も高校生になったばかりのときは、皆さんと同じようにこんなことばかり考えていました。
でも、やらなければならないことを目の前にしたときに、自分の感情を最優先にしていては、判断を見誤ります。
広く、高い視野で、自分の夢を見つけよう
高校に入ることそのものが夢だった人は、これからはまた新しい夢を見つけましょう。友達と一緒のものを選べないと不安になる人は、たとえ進む道は別々になったとしても友情は変わらないことを学びましょう。
これは今だけではなく、社会に出たときにも同じです。皆さんは少しずつ、大人になる準備をしています。この文理選択も、その一つの岐路なんですよ。
なお、直近の情報によると、22年春にも、高校普通科が再編され、文系・理系などの枠組を超えた「学際融合学科(仮称)」と地域社会の課題解決を目指す「地域探求学科(同)」の2学科が新設される方針があるとのことです。(2022年7月15日付の読売新聞による)
文部科学省は、高校生の7割が在籍する高校普通科を再編し、文系・理系などの枠組みを超えた「学際融合学科(仮称)」と地域社会の課題解決を目指す「地域探究学科(同)」の2学科の新設を認める方針を固めた。
読売新聞オンライン
これから教育が変わるにつれ、いまのような「文系か理系か」だけが皆さんの選択だけではなくなります。もっと広く、高い視野で物事を学び、活かしていくことが求められます。
どんなときも応援しています。いつでも相談に来てくださいね。