漢字が読めない書けない…漢字学習の理解を早めるコツ教えます!
初めまして。学習塾 創研学院の尾形と申します。
今回は国語の苦手克服をテーマに二部構成で全4つのポイントについて、お話しさせていただきます。
- 【其の1】漢字力向上(本記事)
- 【其の2】ことわざ・慣用句などの知識問題(本記事)
- 【其の3】文章を読むのが苦手な人への対処法
- 【其の4】読解のルールを身につける
まず、国語全般についての苦手度合いについて確認してみましょう。
問:模試などの国語のテストについて、以下の項目に該当する場合は☑を入れてください。
さて、いくつチェックがついたでしょうか?
5つ以上チェックがついてしまったら、残念ながら「国語が苦手」と判定してよいかと思います。
現在、中学受験においては主要2科目の片割れであり、高校受験においては3本柱の一つが「国語」という教科になります。入試は総合力で合否が決定しますので、国語が苦手な分は他教科でカバーすることが可能です。
とはいえ、「得意」ではなくとも「苦手」からは脱出したいところですよね。受験におけるライバルたちと大きく点差がつかないくらいには、国語の点数を引き上げたいと考えるのは当然だと思います。
ではここから、具体的な日々の取り組みをお話しさせていただきます。実施しやすいものからで構いませんので、現在取り組んでいなければ、読後に直ぐに実施していただければ幸いです。
【其の1】漢字は「量」で勝負!という考えを捨てる
漢字が読めない・書けない理由とは?
「漢字なんて覚えるまで書く以外に道はない!」と思っていらっしゃる保護者様も多いかと思います。
その結果、お子様の学習机周りから、様々な出版社から出されている漢字のドリルが何種類も発掘され、開いてみるとどれも中途半端なところで挫折しているといったことが起こります。
漢字が読めない・書けない子供の多くは、漢字がただの「形」にしか見えていない可能性が高いのです。だから、練習するときも「漢字を書いている」というよりも「不思議な意味不明の記号をいくつもいくつも書き並べている」といった感覚になってしまっています。
しかし残念ながらそれでは漢字は身につきません。
そして、そういう子供たちの多くは「語彙力」も低いことが多いのです。
漢字の「意味」を考えること=漢字力向上の近道
そもそも、漢字というものは「表意文字」です。そこには「深い意味」があります。
アルファベットやひらがな・カタカナは「表音文字」ですから、それを見て発音ができればよいので、一つ一つの文字に「意味」はありません。
つまり、漢字はまず「意味」を大切にしなければ身に付かないのです。
一つ例を挙げてみます。
次の漢字の問題はとある私立中学の入試で出題されたものです。
問:次の文のカタカナを漢字にしなさい。
「彼は、ジュンキョウのうちに育った」
さて、いかがでしょうか?
思わず「殉教」という熟語が頭に浮かんだ方も多いかと思います。
しかし、先述したように、これは中学受験の問題ですので、小学生に答えさせる問題です。もちろん、学校によっては小学校では習わない漢字を書かせるケースもあります。しかし、仮にそうだとしても「殉教のうちに育つ」では意味が通りません。
正答は・・・
「順境」です。
「順調な境遇」という意味で、「逆境」の対義語になります。
漢字のドリルなどで出会った漢字の「意味」を大切にすることが、漢字に強くなる「遠回りのような近道」なのです。
必ず、新出の漢字は「意味」を調べてください(問題集によっては意味も載せてくれている便利なものもあります)。
面倒ではありますし、時間もかかります。「そんなことをしている暇はない!一つでも覚えなくては」と焦って、数多く練習させたくなる気持ちはわかります。しかし、それでは実践的な漢字力には繋がらないのです。
熟語も意味を知ると理解が早まる
特に熟語(対義語・類義語・同音異義語・四字熟語など)は、意味を調べることで、なぜその二つの漢字を組み合わせたかが理解しやすくなります。組み合わせられた理由が理解出来れば、「音合わせ」のような「とんちんかん」な造語を書かなくなります。
昨今の入試では、いたずらに難しい漢字を書かせるという問題よりも、漢字自体は難しくないが、熟語やその言い回しを知らないと書けない問題が出題されます。そのトレンドに対応するためにも「意味」を大切にした漢字練習が必須となります。
漢字の学習は、語彙力や読解力にも繋がる
また、そうやって漢字練習をすることは「語彙力」を高めることにも繋がり、そして、「読解力」へと発展していくのです。
日本初の国語辞典は「言海」と言います。「言葉の海」なんて素晴らしく的を射たネーミングだと私は思います。海のように広大で深いのが言葉なのですから、その中を進むには地図が必要です。
「国語辞典」という名の地図を常に携えて、受験国語の海原へと旅立たなくては難破するのも無理はありません。
【其の2】ことわざ・慣用句などの知識問題
記憶に残すには「実践」が一番
ことわざ・慣用句・故事成語・文学史といった国語の知識問題。
もちろん、それぞれの成り立ちや背景知識といったものから、一つ一つ身につけていきたいのが本音です。受験まで、まだ余裕がある学年の場合は、国語便覧のように詳しく意味や成り立ちが載っているものを熟読したり、ことわざや慣用句のマンガ辞典などを読んだりすることもお勧めです。
しかし、今回は得点アップが目標ですので、受験学年に絞って話をさせていただきます。
その場合、効率よく力を付けていく必要があり、そのためには問題がたくさん並んでいる知識問題集をジャンル別に演習するよりも、「実践」が一番です。
街中ですれ違った人々はのっぺりとした印象で覚えにくい。
しかし、戦場で出会い・戦った相手はどうでしょう?国語の知識問題と戦友として出会うことで、しっかりと記憶に残していくのです。
知識問題の学習の進め方
では次に、実際の学習を進め方を説明します。
- 各年度の入試問題を学校別に収録したタイプの問題集を用意する
- 各学校の知識問題の部分だけをコピー(どの学校か分かるようにしておく)
- 1日2~3校分解いていく
- 全ての学校分が終わったら、繰り返し解く
まず、いくつかの出版社から発売されている各年度の入試問題を学校別に収録したタイプの問題集(いわゆる「過去問集」です)を用意します。
その問題集から、各学校の知識問題の部分だけをコピーしていきます。その際、出来ればどの学校かがわかるようにしましょう。子供たちは、大人が思う以上に「〇〇校で出題された問題」というだけで、モチベーションがアップします。
そして、それを1日2~3校分を解いていきます。もちろん、直しもしますし、知らない知識であれば意味調べもしてください。
全ての学校分が終わったら、もう一度同じ問題を繰り返します。
実際の現場での指導方法
私は実際の指導では、年度ごとに入試問題の知識問題を集約してプリントにし、テスト形式で実施しています。結果を表で管理し、2周目で出来るようになったかをしっかりチェックします。
大切なのは、覚えているかをチェックし、管理することです。せっかくの国語知識との出会いを大切にしたいものです。
さて、続く其の3、其の4では文章を読むことについて、読解問題の攻略法についてお伝えします。
【其の3、其の4はこちら↓】