小説文(物語文)の解き方!4つの視点で登場人物の心情を理解する方法
物語文の内容は把握できるのに、
問題を解いたときに正答率が悪くて点数に結びつかない…。
今回の記事では、物語文(小説文)を読む上で欠かせない、登場人物の心情を理解する4つのポイントをお伝えします。受験現代文で高得点が狙うための読み解き方のコツを掴みましょう。
- 主人公の性格を観察しよう
- 場面の変化を把握しよう
- 言動や表情をチェックしよう
- 情景描写にも注目
主人公の性格を観察しよう
性格によって出来事の感じ方が変わる
さて、冒頭の学生はなぜ国語の点数に結びつかなかったのでしょうか?
実は、物語文の主人公に自分自身を投影して読んでしまっていたのです。これはよく起こる失敗です。
まず、文章題を国語の問題として読む際に重要なのは「客観的に読み取ること」です。そもそも忘れてはいけないことは物語文はフィクションだということ。つまり創作のお話です。
よって、「登場する人物は学校の〇〇君に似ているとか自分と同じような性格だ」という場合や、思わず「こんな奴おらんやろ。」と言いたくなるような癖が強いキャラクターの場合もあります。
そこでまず一つ目は、文章をじっくり観察して登場人物がどのような性格か確認しましょう。
性格は心情とリンクします。つまり、性格によって同じ出来事でも感じ方が変わるのです。
例えば友人から「君が間違えている」と言われたときに、その登場人物はどのような反応をするでしょうか。
君が間違えている!
ここで重要なのは、自分を投影せずに、しっかり登場人物の反応を客観的に読み解くこと。
「自分だったらこういう時はこうするから主人公も同じだろう…」と、自分を当てはめて答えてはいけません。登場人物の性格をあくまで客観的に観察することが大切なのです。
人物同士の関係性にも着目しよう
同じ発言内容でも誰に言われるかで感じ方が変わります。
仲の良い友人、愛情を注いでくれる家族、ライバル関係の友人、今現在喧嘩をしている相手、初対面の人。
前述の例のように「君が間違えてる。」と言われたとき、誰から言われるかによって、「君こそ間違えている。」と反発をすることもあれば、「迷惑をかけてしまった」と落ち込んだり、「なぜ、そんな間違えをしてしまったのか。」と反省したりすることもあるでしょう。
つまり、相手との関係性など、登場人物の人間関係にも注目することで、心情を理解することができます。
場面の変化を把握しよう
心情が変わった原因はなんだろう?
何もきっかけがないのに人間の心情が変化することはまずありません。
うれしくなったり、悲しくなったり、気持ちが動くときには何かしらの原因(きっかけ)があります。
例えば、
「誰かに何かを言われた」
「テストが返ってきた」
「目標が達成できた」
など何かしらの要因があって初めて心情が変化します。当然ですね。
テストでは、心情が変化した原因を聞く問題(答えはきっかけとなった出来事を答える)や、逆にある出来事によってどのような心情になったか(答えはもちろん心情を答える)という問題が出てきます。
場面転換で心情は変わりやすい
では、心情を動かすきっかけとなる出来事を見つけるにはどうしたらよいでしょうか。
それは、場面の変化を意識することです。
場面が変わるということは、そこで何か別の出来事が起こることを示しています。
その出来事を記述するために場面を変えるので、
場面が変わる=何か出来事が起こる
と考え、そこから心情の変化を注目をしてください。
場面の変化を見つけるには
・時間が変わる
・場所が変わる
・登場人物が変わる
上記のいずれかの変化があったら場面が変わっている合図です。心情の変化とその原因の出来事を探しましょう。
主人公の言動や表情をチェックしよう
国語はよく、答えが文章の中に書かれていると言われます。知らない人物の心情を答えるわけですから、もちろん書いてくれていないと答えようがありません。
そこで、心情を表す言葉が書かれている部分は確実にチェックしましょう。
例えば、以下のような文章です。
・友だちがほめてくれてとてもうれしかった
・試合に負けてくやしかった
一方、直接表現でなく、間接的な表現で書かれている場合もあります。
それでも我々は日常生活において、相手の口調や表情、または、行動を観察するとだいたいの気持ちは察することができます。例えば以下のような表現です。
(テストが返却されたとき)
・にっこり笑ったり、小さくガッツポーズをしたりする → 点数が良くて喜んでいる!
・下を向いて口を真一文字に結んでいる → 点数があまり良くなかったのかな…。
・走ってくる。→ 楽しみにしている
・ダラダラ歩いてくる。→ あまり乗り気でない
しっかりと登場人物を観察すれば、日常の周りの人と同じように心情の理解ができます。
情景描写で表現されていることも!
心情を表現するときに、周りの情景描写によって表現する場合があります。
登場人物の気持ちにより、周りの情景が影響を受けるなんて、現実の世界では起こりませんが、物語は冒頭で書きました通りフィクションです。なんでもありです。
例えば
「僕は家をでて通りを歩いた。空には厚く重たい灰色の雲が垂れ込めていた。」
この文章の登場人物は今、どんな気持ちで通りを歩いているでしょうか。
もちろん落ち込んでいたり、悲しんでいたりと、ネガティブな気持ちになっていることを想像してもらえると思います。
もう一つ例を述べます。
「僕は、兄を探して歩き回った。そして、少し広くなった原っぱにたどり着いた。その時…」
(1) 「雲の切れ間から、太陽の光が降り注いだ。」
(2) 「風が冷たくなり、雨が降ってきた。」
(1)は、兄が見つかる予感がしませんか?
(2)はまだまだ兄が見つからないような予感がしませんか?
漫画でもよく決闘シーンでは風が吹き、雨が降り出し、希望溢れるシーンでは虹がかかったりすることがあります。
情景を想像し、そこから登場人物の気持ちを想像し読み取ってください。
4つのポイントまとめ
ポイントはこの4つ!
① 性格
② 人間関係
③ 言動・表情
④ 情景描写
をしっかりと観察し、読み解くようにしましょう。
そうすることで、登場人物を客観的に読みとることができ、自分とタイプが違う登場人物でも心情をきちんと把握することができます。それにより、テストでの出来不出来の波が小さくなってきます。
内容が把握できれば、その読み取り通りの点数が取れるようになってきます。