数学の記述式問題の答案の書き方~国公立大学の最終関門『個別(二次)試験』を突破するために~


個別試験(二次試験)で数学を使う受験生の皆さん、

共通テストも二次試験も同じ数学なのだから、共通テスト対策をしっかりやっていれば、その延長でなんとかなる!
なんて思っていませんか?

そう思っていたら大間違い!
共通テスト試験の数学と個別試験の数学では大きく異なります。
何が違うのかというと、共通テスト試験はマーク式なのに対し、個別試験の数学はほとんどが記述式であること、そして、共通テスト試験の数学はコンピュータ採点なのに対し、個別試験では人間が採点することです。ですから、答があっていればOKの共通テスト数学に対し、
個別試験では、 『答案は、自分の考えが採点者(人間)へ伝わるように丁寧に簡潔に書く!』

ということが必要となります。
採点者は膨大な量の答案をチェックするわけですから、まずは「自分の答案が読んでもらえるように」作成しなければなりません。
採点者は、「答案に書かれていない行間を自分の頭で補って、その補ったことに対して点を出す」というようなことは決してしません。入学試験の答案は、書かれていることだけが受験生の考えたことであって、書かれていないことは考えていないことである、という扱いがされるものです。
必要なことはきちんと言葉で書き入れておくことが大切です。
悪い例
悪い例を先に挙げると
・字が汚い
・下書きと本当の答案の区別がつかない。
・条件反射的に公式を使っているだけ
・答を出すためだけの式が羅列されているだけで、日本語の説明がない。
といったところでしょうか。
まだまだたくさんありますが、キリがないのでこれくらいにしておきましょう。

良い例
では、われわれは採点者に何を伝えればいいのでしょうか?

①問題文をきちんと正確に読み取って何が問われているのかをつかむ読解力
②問題を解決するためにどのような方法でどう攻めていくかという方針を立てる構想力
③立てた方針を実行に移す計算力
④読み手にわかるように筋道立てて記述する表現力
これは、採点者(大学側)が入学してほしいと思う学生像と重なります。
入試は入学試験ですから、その要求にしっかり応えることが肝要です。
それでは、これらを実現する方法についてステップを踏んで説明します。
ステップ1 基本の基本 ~答案の流れ~
①自分でおいた文字の説明
②立式の理由
③立式
④計算課程
⑤答
当たり前のことですね。当たり前だけに必須です。
これができていないと答案として成立しないので採点対象にならない可能性もあります。

特に、①②など「答さえあっていれば…」などという甘い考えだったり、急いでいたりすると、意外と抜けがちになります。気をつけましょう!
ステップ2 基本 ~答案をわかりやすく見せるために~
やはり、見やすくわかりやすい答案、見栄えの良い答案の方が有利です。
せっかく加点されるようなことが書かれていても、わかりにくかったり、見落とされたり、違う解釈をされてしまうと(採点者は人間ですから)、得点になりません。
少しでも点数をもぎ取るために、以下の8つのポイントに気をつけて答案を作成しましょう。
①字が丁寧
②適切な改行、行の頭下げ
③図やグラフが書いてある
④日本語での思考の途中過程の説明がしてある
⑤接続語が正しく使えている。「つまり」「なぜならば」「よって」など。
⑥場合分けに番号をつける
⑦答案の中の式に番号がついている
⑧公式や〇〇定理を使っていることが分かる
ステップ3 ~さらにわかりやすくするには~
ステップ2までは、はっきり言って普通の答案を作成するための必要条件と言っていいでしょう。
ここでは、膨大な枚数の答案の中で、自分の答案を採点者にしっかりと見てもらい、さらに得点を稼ぐことができるポイントを抑えておきましょう。
下書きを残す。
下書きというのは思考過程でもあります。消してしまったり、裏のスペースに書く人もいますが、難関大学ほど下書きを評価してくれるとのことです。
評価のポイントは次の2点になります。
- 「このように考えたが、解に至らなかった。」
⇒構想力、表現力のアピール - 見直しの際の確認に使える
⇒計算力のチェック
もちろん、これらはステップ2までクリアしていることと、「本当の答案」と「下書き」をしっかり区別、整理して書けることが大前提です。
図、計算、言葉のバランスに気をつける。
図や計算式だけばかりで言葉での説明が不十分だったり、逆に図を使えば簡単に説明できるのに言葉で長々と書いてしまうときがあります。
答案は「見せるもの」なので、自分が分かればいいというものではないです。
意識してほしいことは、イメージしやすい図やグラフを中心に使い
言葉は
・解答の理由や使った定理を書くとき
・図に簡単な説明を加えるとき
・接続語(よって、だから、つまり・・・)
のときにだけ使えばいいことです!

ステップ4 ~減点されない答案~

置き換えなどの文字の条件を見落とさない。
これは、みなさんも模試などで経験があるのではないでしょうか?
正負の確認、大小関係、等号の有無など。
これは、答案の見やすさ、見にくさに関係なく採点者は注意深くチェックします。
例えば、ax=bという式があって、x=b/aとしたいのなら、かくかくしかじかの理由でaは0ではないから、x=b/aと表せる、ときちんと説明しないといけません。そうでなければ、「あなた、もしaが0であったらどうするのですか?」と言われてかなり減点されることになります。
そんな小さなことと思うかもしれませんが、おそらく理系の皆さんが大学入学後に勉強する数値解析においてこの手のミスはプログラムを実行するとき、ほぼ必ずエラーの原因となります。
大学側が求めていることに対して、しっかり応えていく必要があるのです。
証明では全体の方針を主張する。
「起・承・転・結」のまさに起の部分です。
例えば、数学的帰納法を使って証明する場合は「…について、数学的帰納法を用いて証明する」と冒頭に書いておけば、採点者は数学的帰納法の流れで答案を読み進めます。
しかし、採点者が受験生の方針を掴み切れない場合は何を書いているのか全部探りながら細部のミスまでチェックしながら読むことになり、その結果細かいミスを発見されて減点される可能性があります。
冒頭で方針を主張することによって、ある意味受験生の思惑通りに採点させることもできるのです。
ステップ5 ~ステップ4を実現するために~

参考書や問題集の解答例を完璧に真似してみましょう。
正解・不正解にかかわらず、

解答例の書き方となんか違うな?

自分の書いている答案は書いていることが少なすぎるな。
(または多すぎるな)
と思った場合には、解答例を書き写してみましょう。
そのとき、ただ字を書き写すのではなく、なぜそう書かなければいけないのか、そこにその言葉を書く意味は何なのかをいうのを考え、その理由や根拠を書き写した答案に色ペンにてメモしておくとよいでしょう。
その作業を繰り返し、いずれ何も見ずに自力で解答例を復元できるようになれば大丈夫です。

大まかなことについてはここに書き記しましたが、自分の欠点を自分で発見するのが容易なことではなく、知識と経験を持つ第三者の力が必要です。
創研学院では、これまでに積み重ねてきた経験から個別試験対策を含め、中学受験から大学受験まで来ていただいた生徒さんに誠心誠意アドバイスさせていいただいております。
受験勉強でお悩みの際は、ぜひ最寄りの創研学院にお声かけください。