【高校受験】推薦入試の自己PR攻略法!例文と失敗例から学ぶコツとは?
「それでは、自己PRをしてください。」
これを読んでいる保護者の方は、高校推薦入試を受けたことのあるなしに関わらず、誰しも一度は聞かれたことのある問いかけではないかと思います。
もちろん面接だけではありませんね。志望理由書などの出願書類に書くこともあります。
また、大学推薦入試における出願書類や面接、そして就職活動や転職活動で履歴書の欄に書きまとめたり、面接で答えることもあります。
何歳になっても、自己PRは人生の大事な局面でずっと私たちと関わりつづける質問なのです。
そこで今回は、「高校推薦入試の自己PR」をテーマにお伝えするものの、「一生使える自己PRの考え方」にも踏み込みます。ぜひご家族みなさんでお読みいただければと思います。
自己PRって何だろう?
自己PRの「PR」とは何でしょうか?
自己PRと聞くと自分の良いところを「アピールするもの」と思われがちですが、本当はそうではありません。
PRとは、英語で「パブリックリレーションズ(Public Relations)」の略。つまり「組織とその組織を取り巻く人間(個人・集団・社会)との望ましい関係をつくり出すための考え方および行動のあり方」のことです。
パブリックリレーションズ(Public Relations)とは、組織とその組織を取り巻く人間(個人・集団)との望ましい関係を創り出すための考え方および行動のあり方である。
日本パブリックリレーションズ協会「パブリックリレーションズとは」より
つまりPRする上で大切なのは「組織(この場合受験する高校)と自分との望ましい関係とは何かを考えること」なのです。
自己PRの準備:高校が求める学生像を調べよう
そこでまず皆さんにしていただきたいことは「高校側が求めている学生像」を調べることです。
なぜなら皆さんは、「この子ならきっとこの高校で活躍してくれるだろう、頑張ってくれるだろう」と、高校側に選んでもらう必要があるからです。将来社会に出て就職活動するときとよく似ています。
受ける高校がどんな生徒を求めているのかが分からないと、「受験校と自分との望ましい関係を考えること」はできません。
さあ、早速高校のパンフレットやホームページで確認しましょう。
授業カリキュラム、卒業後の進路、卒業生の声などもよく読み、その高校の求める学生像をいろいろな角度から考えてみましょう。また、オープンスクールなどで実際に足を運び、高校の先生のお話が聞ける機会があるならば、じっくりと耳を傾けてきてください。
その高校にはどのような学生がいて、どのように勉強していますか?
その高校で学べるカリキュラムや、オープンスクールで聞いた先生のお話は、自分のやりたいことや進路とどう関係しているでしょうか?
「高校側の求める生徒像」を考えた上で、そこに自身の将来進みたい道やアピールポイントを加えることで、単なる自分のアピールから相手に伝わる自己PRに変わります。自己PRに一層深みが増すのです。
焦りは禁物。自己PRでよくある失敗とは
ここからは、中学生の皆さんが陥りがちな自己PRの落とし穴を3つお伝えします。
- 高校の期待する生徒像を把握していない
- ありきたりなエピソードしか準備していない
- 隣の人と内容が被って焦る
高校側の期待する生徒像と無関係な点ばかりアピールしてしまう
まず一つ目は、「自分のいいところをアピールしよう!」と意気込むあまり、受験校の求める学生像や高校の特色、高校での学びとかけ離れた点をアピールしてしまうことです。
皆さんはもちろん、それぞれ素敵な個性を持っています。でも、その「PRしたい点」をなんでもどんどん言えばいい、書けばいいということではありません。
PRの意味を思い出してください。「受験校と自分との望ましい関係とは何かを考えること」ですね。
つまり、受験校の求めることと自分のアピールポイントとの両方をしっかりと考える必要があるのです。
なかば投げやりに、ありきたりなエピソードしか準備できない
受験生の皆さんは当然、推薦対策だけに毎日の時間を費やしてよいわけではありませんね。
多くの方が一般入試に必要な科目の勉強との同時並行で、毎日を過ごしています。
そんな中で、中学校の先生に自己PRの下書きを提出する〆切に追われたり、学校での面接練習を受けたりしているうちに、
ええい、もうこれ以上考えるのってしんどい!これでいいや!
と、なかば投げやりに自己PRを「完成」させてしまう人がいます。
また、普段からなかなか人と違った意見を持つことができず、ついついありきたりな言葉や表現、エピソードを選んでしまって「完成」させる人もいますね。
ちょっと待って!それってとても危険です。
中学生一人で調べ、考えるのは、きっと難しいことです。
「難しいな」「困ったな」と思ったら、塾の先生にもぜひ相談してください。「パンフレットにはこう書いてあるけど、つまりこれは高校生になったら〇〇を頑張りなさいということなんだよ」と、皆さん一人ひとりと話を進めていきます。
油断大敵…隣の人の話が自分と被った!!
こんな例があります。
高校推薦入試当日が近くなり、皆さんに焦りの色が濃くなってきます。
あれ、なんだか浮かない顔だけど…
もしかして学校で面接練習終わった?
私がこう声をかけると、たいてい、このような返事がきます。
はい・・・終わりました。
最初は、面接くらい、自己PRくらいなんとかなるだろうと思って、
とても自信あったんですよ。
でも自己PRだけじゃなくてほかの質問も、答えた内容が隣の人と被ってしまって、本当に最悪でした・・・。
答えている途中も、同じじゃだめだ、どうしようどうしようと思って、覚えたことも出てこなくて言えないし、声も小さくなって…全然言えなかった。
先生、どうしよう。こんなんじゃ絶対落ちる!
やっぱり!
うーん、当初「こんな感じでなんとかなるだろう」と、ぱぱっと考えて答えを準備してしまうと、うまくいかないものですね。
本番で焦ってしまう
推薦入試の面接は多くの場合、グループで行われます。
もし、面接本番で本当に隣の人と自己PRの内容が同じになってしまったら、とても焦ってしまいますね。
焦ると自信を持って話すことができなくなります。そして面接官も皆さんの個性や長所をつかみづらく、判断に困ってしまうことでしょう。
だからこそ、ほかの誰にも言えない「自分だけの自己PR」をじっくり心を込めて考えることが大切。そのためには、エピソードをできるだけ絞って「詳しく」伝えましょう。
さて次の章では、例文を使って実際の自己PRの作成方法をご紹介します。
例文を使って自己PR文を作成してみよう
<失敗例>どこがNG?ありがちな自己PR
まずは自己PRの失敗例をご紹介します。どのような点がよくないのか考えてみましょう。
「部活動でリーダーシップを発揮した」という自己PR
私は部活動で、みんなをまとめて力を一つに合わせることで、チームを優勝に導きました。
落ち込んでいる仲間を励まし、顧問の先生にもチームをよりよくするための提案をして、先輩も達成できなかった結果を残すことができました。
この自分のリーダーシップを生かして、高校でも頑張っていきたいです。
何が足りないかお気づきですか?
・
・
・
そうです。
話し手の本当の部活動でのリーダーシップを発揮した「行動」が全然想像できないのです。
「頑張りました!」という自信はよく伝わってきますが、面接で皆さんを判断するのは、初めて会う高校の先生です。初めて会う人にも自分をイメージしてもらえるように伝えていきましょう。
<添削>自分へのツッコミで自己PRを具体的にしよう
さて、先ほどの文章ですが、塾での面接指導ではこのようにツッコミます。
(対話を重ねられるのも、個別指導塾ならではの良さです!)
・落ち込んでいる仲間を励まし → どうして落ち込んでいたの?どうやって励ましたの?
・部活動で → なんの部活動?
・みんなをまとめて → みんなってだれ?同じ学年の人?自分のチーム?
後輩?まとめてってどんな風に?何をしたの?
何を心がけた?
・チームをよりよくするための提案をし → 何があったから「よりよくしたい」と思ったの?
「よりよく」って具体的にどういうこと?
提案は一人でしたの?何と言って提案したの?
その提案に対して、顧問の先生からはどんな意見や
アドバイスをもらったの?
・先輩も達成できなかった結果を残すことができ → 具体的にどんな結果?先輩を目標に頑張って
いたのかな?それはどうして?
・リーダーシップを生かして高校でも頑張りたい → 具体的にどんな場面でリーダーシップが必要
だと考えている?それはなぜ?
具体的にどう頑張っていきたいの?
ざっと挙げるだけでもこれだけあります。
エピソードを絞り込むと、たとえば以下のような自己PRが完成します。
「部活動でリーダーシップを発揮した」という自己PR
私はテニス部に所属しており、中学2年生の秋からキャプテンを務めました。
以前から、私はチームが強くなるためには練習メニューを見直すことが大切ではと考え、同じ学年の仲間と話し合っていました。
これまでは、先輩方が代々続けてきた練習メニューをただこなすだけでしたが、後輩とも話し合い、顧問の先生にフォーム研究をもっと取り入れたいと提案しました。
その結果、去年予選落ちだった市大会では優勝することができました。
高校でもテニス部に所属し、意見をまとめる立場になりたいです。
いかがでしょうか。
あくまでも一例ですが、ここまで具体的に述べておくと、いかに皆さんが熱心に、自分の強みを発揮して試行錯誤をしてきたかがよく分かりますね。
当然、他の誰かと被ることはありません。
一度「できた!」と思ったとしても、自分で自分にツッコミを入れるようにして、具体的に説明してみましょう。
入学後までイメージした高校選びを
いまや推薦入試は大学入試でもスタンダードの一つです。
勉強も推薦対策も「高校入試に合格すればそれでよい」「入りさえすればこっちのものだ」という安易な考えを持ったまま高校生になってしまっては、肝心の入学後や大学入試のときに大きな挫折を味わうことになりかねません。
高校では、中学よりももっともっと勉強しなければいけません。高校入試はそのための一つの試練として用意されています。
ですから精一杯、自分の行きたい高校を調べ、入学後のイメージを膨らませ、高校で活躍する自分を思い描いてみましょう。
「この子なら」と選んでもらえるような自己PRを一生懸命に、心を込めて誠実に考えることができる皆さんであれば、きっと大丈夫です。
自己PRに限らず、推薦入試の対策には本当に労力がかかります。
人によってはその対策そのものが大きな負担となったり、将来の夢や志望理由を考えることに夢中になってしまい、肝心の受験勉強への時間や精神力がかけられなくなったりするような中学生もいます。
不安になったり困ったときは、塾の先生にもぜひ相談してください。
勉強と推薦対策とのバランスも見極めて、一人ひとりに合ったアドバイスをさせていただきます!