【大学入試・小論文】失敗例と攻略ポイント!小論文に必要な力とは?
大学入試における総合型選抜(旧AO入試)の位置づけの高まりについては、以前の記事でもお話ししました。今回は小論文について、3つのタイプ別の対策や失敗例についてお伝えします。
小論文試験の3つのタイプ
大学入試における小論文試験は、大まかに以下の3つのタイプがあります。
A)指定校推薦入試などの書類審査
B)総合型選抜(旧AO入試)に代表される課題型小論文
C)一般入試における小論文
では、順番によくある失敗例と知っておいてほしい知識を解説していきましょう。
※なお具体的な小論文の書き方の指導につきましては、生徒さんのご様子や、各大学の試験内容や傾向によって変わります。あくまでも一般的なことがらについてのご紹介です。
学校推薦型選抜の書類審査
学校推薦型選抜には、指定校制推薦、公募制一般推薦、公募制特別推薦があります。書類審査に力を入れるタイプの“準”小論文といえます。
※ただし、本格的な小論文、面接が課される大学・学部もあります。そして、国公立大学では大学入学共通テストの点数が合否判定に含まれることもあります。いずれにしても、自分の受けたい学部・学科の入試要項を調べたり、学校の進路指導室で相談して、正確な情報に基づいて対策を進めましょう。
- 志望理由
- 高校時代に力を入れたこと
- 大学で取り組みたいこと
- 大学卒業後の進路
- 自己PR
などについて、指定された体裁にのっとって手書きで記述し、提出します。
受験生が陥りがちな状況はこのようなものがあります。
- 比較的短期間で書類を仕上げなければならず、焦る
- 手書きでの原稿作成に慣れず、予想以上に時間がかかる
- 指定に体裁の範囲に自分での文章をおさめることができず、スムーズにはかどらない
指定校推薦に出願できるかどうかは、高校3年生の夏すぎに評定平均値が確定し、さらに校内推薦を経て確定します。
無事にそれを通過したとして、大学への正式な出願締め切りはおおよそ10月。高校生たちは、慣れない書類作成が思った以上に手間となり、気の抜けない日々を過ごすことになります。
なかには「どうせ指定校推薦がもらえないだろうから」と夏休みには一般入試の対策に集中した人であっても、思いがけず指定校推薦のチャンスがやってくることも。嬉しさ半分、準備のしんどさ半分といった心境で、必死で校内推薦の準備をする高校生が毎年います。
もちろん無事に出願ができれば、そして受験当日の面接*などを乗り越えれば、ほぼ不合格になることのない試験です。それだけに、準備は「片手間」とは思いこまず、丁寧に万全に行いましょう。
なお、指定校推薦入試に関する情報は、各高校の先生方がもっともよくご存じです。高1生も高2生も、学校成績に自信がある人は、早めに学校の先生に相談しましょう。
総合型選抜(旧AO入試)に代表される課題型小論文
出願書類(エントリーシート)の準備は、指定校推薦入試と同様です。ただし、総合型選抜(旧AO入試)では、大学によってはそれが「一次審査」となり、正式に出願ができるかどうかは書類審査次第という場合もあります。
それだけでなく、さらに大学の体験講義の内容をふまえて書く形式、指定された本を読んで自らの考えを書きまとめる形式などがあり、対策期間は比較的長くなります。
このように、おなじ小論文とはいえ、大学、学部ごとに形式や内容はさまざまです。また総合型選抜(旧AO入試)は年に1度ではなく、複数回受験のチャンスがある大学もあります。
要注意!総合型選抜(旧AO入試)での失敗例とは?
よく募集要項を確認して、締め切り直前になって「やるべき準備を勘違いしていた!」ということのないように、気を引き締めておいてください。
先輩と同じ大学の総合型選抜(旧AO入試)を受けることにしたからと、その先輩から聞いた情報だけをあてにしてしまって、自分で調べることを怠ったために、「自分の受けたい学部の課題内容とはちがう!」と気づいたときにはもう締め切りに間に合わない・・・。こんな生徒さんが毎年一人はいます。
指定校推薦入試の出願書類は、最終的に学校の先生にしっかりと確認していただけるため、きちんと指示に従っていれば大きなミスは起きません。
しかし、総合型選抜(旧AO入試)における隠れた落とし穴は、受験生自身の情報収集力と事務処理力にあるといっても過言ではありません。
以下のようなことにも気をつけましょう。
- 募集要項の確認を怠り、締め切りに間に合わない
- 出願書類の体裁が理解できず、項目内容を間違って記入してしまう
- 書くべき項目にモレ・抜けがある(例;出身高校名など)
- 漢字の誤字、脱字
- 提出すべき書類が足りない、手続きや準備が間に合わない
- 大学は決めたものの、学部がなかなか決定できずに「なんとなく自分にできそうな課題」を選ぼうとして準備や対策が進まない
高校生であれば、きっと誰もがはじめて経験する作業内容や意思決定ばかりですね。緊張やとまどいはよく分かります。でも、その「緊張」「とまどい」があったからといって、期日を守れなかったり、内容に不備があることの理由にはなりません。
受験は、本番当日ではなく、「総合型選抜で合格しよう!」と本気で思ったその瞬間から始まっています。
一般入試における小論文
一般入試で小論文が課せられる大学・学部は、ある程度限られます。
今回は医学部受験を例に、対策の注意点をご紹介します。
小論文を「一科目として」本気で対策する
「書く」ためには、土台となる正確な知識が不可欠です。まずは自分の受験したい学部学科に関連した小論文の参考書を購入し、徹底的に理解し、演習に努めましょう。
小論文も他の科目と同様に、受験科目の一つとして対策を行うことが大切です。
オススメ参考書例:大学入試小論文の完全ネタ本シリーズ(文英堂)
合格できる受験生は、持つ“熱量”が違います。普段からテレビや新聞で報道されるニュースも自然とチェックしていますし、それについての自分の感想や意見も考え続けることができます。
例えば、医学部受験をめざすのではあれば、医療に関する報道や時事がより大きなきっかけとなって、自分が理想とする医師のあり方や医療を深く考えたことがあるという人も多いことでしょう。
でも、自らのその理想が、そもそも医療の現状とかけ離れすぎていたり、いまの医療をすべて否定するような視点から出発しているようでは、論理が破綻してしまいます。
自分の思いや考えに固執しないこと
小論文が苦手な受験生に共通していえるのは、自分の強い思いや考えに固執して、大局的に現状を分析しようとできない点です。
「そもそも医療というのは・・・」と知っている知識や情報をふりかざしたり、「いや、参考書にはこう書いてあるけど、自分は経験上そうは思いません!」とすぐに否定してしまうようでは、自分の視野の狭さを露呈するだけです。
「自分がこれまで医療について見聞きしたことは、医療全体ではあくまで断片的なことであって、土台にはこのような物事があるんだな。ということは、あのときの自分の経験は、もしかしたらこれまで自分が思い込んでいたのとは、また違う側面を持っているのではないだろうか」
このように深く考察できてこそ、小論文として紡ぎ出す言葉のひとつひとつに説得力が生まれ、独自な視点もいいエッセンスとなりうるでしょう。
論理的な、合格できる小論文の「書き方」「意識すべき流れ」というのは、6ヶ月程度を目安に先生の指導を受けて、きっちりと訓練すればかならず身につきます。まずは土台として、いい意味で「自分を消す」こと、つまり正しい知識を正しく身につけることを徹底することが大切です。
まとめ:大学小論文入試の3つの攻略ポイント
①情報収集力:総合型選抜(旧AO入試)
募集要項を自分で責任を持ってすみずみまで読む。先輩の話や合格体験談は参考程度にとどめて、自分の興味や関心が持てる大学や学部に関する情報は自分で集めよう。
②事務処理力
書類作成は予想以上に時間がかかります。
「書き方は誰かに聞けば大丈夫だろう」とのんびり構えすぎていると、締め切り直前になって大あわてです。焦ったぶんだけ多くのミスにつながりかねません。段取りよく計画的にすすめること。
③正しい知識を正しく理解
学部・学科の専門的な事がらについては、小論文対策の参考書と問題集を使って、「受験科目の一つ」として本気で学習する。
今回は、大学入試小論文について、指定校推薦入試、総合型選抜(旧AO入試)、そして一般入試の3つに分けて、みなさんに知っておいていただきたいことをお伝えしました。
とくに総合型選抜(旧AO入試)について興味のある方は、面接練習についての記事とあわせて参考になさってみてください。