学校の勉強と大学受験勉強との違いってなんですか?
勉強法に関するアレコレ、学校での人間関係、不規則になりがちな生活習慣、はじめて挑む受験…学生の皆さんや保護者の方の不安や心配は尽きないですよね。そんな勉強や受験のお悩みに個人別指導塾ブレーンで指導する吉川が分かりやすくお答えする連載企画。
さて、今回のご相談は…?
高3生になったばかりで、受験勉強ってどうやればいいの?とお困りのAくん
学校の勉強だけでは受験が心配です。
そもそも「学校の授業のための勉強」と「受験で合格するための勉強」ではやり方は違うのでしょうか?
例えば、学校の問題集とは別に受験用の問題集を用意しなくてはいけないのでしょうか?
高校生の場合、学校ごとに使用している教科書も問題集も、もちろん授業の進度も内容も全く異なりますよね。また、皆さんにとっては、ご自分の通っている高校の、ご自分の受けている科目の授業と宿題について考えるのに手いっぱいだと思います。
でも、受験勉強は“全国大会”です。学校の勉強法とは異なる考え方が必要です。
今回は「学校の勉強と受験勉強との違い」についてお話ししましょう。
その問題集、受験校の入試問題傾向に合っていますか?
受験に漠然と取り組んではいけない!
「学校の勉強だけでは受験が心配だ」というお声は、どの高校生からも本当によく聞きます。現在、学校の成績に満足している人もそうでない人も、やはり「合格のためには、そのための問題集とか問題集を用意しなくちゃ」と、きっと考えておられることと思います。
もちろん、問題集や参考書の選び方は非常に重要です。「いま解けそうなもの」「解説がわかりやすいもの」に漠然と取り組み続けるのではなく、自分の受験したい大学の入試問題傾向に合う問題を扱ったものを選ぶことが大切です。
ですから、「どの大学、学部を受けたらいいか、なかなか決められない」「大学はどこでもいい」というお話を生徒から聞いたときには、私たち講師の脳内では“このままじゃいけない!”というアラームが鳴り響きます。
どんなに高1・高2のときに学校で好成績であっても、模試で高い偏差値を取ったとしても、英検などの検定試験にも合格できていたとしても、自分の実力が「自分が合格したい大学の入試」とかけ離れていれば、受験生としては歯が立ちません。
まずは目標となる志望大学を決め、その目標に根ざした勉強法や問題集選びが非常に大切になってきます。
大学受験でどんな問題が出題されるのか知ることが重要
そんなこと言われたって、そう簡単に行きたい大学は決められないよ!
そんな皆さんの声が聞こえてくるようです。
そんなときは、焦ったり考え込んだり悩み続けてるのはご法度。まずはいくつかの大学の過去問を手に取って、問題を見比べてみましょう。
それらの過去問が解ける、解けないは、大学選びの段階では、さほど大したことではありません。(もちろん、行きたい大学が決まれば、早めに本腰を入れて解きましょう)
へぇー英語ではこんなに空所補充問題が出るんだ。うわ、英作文もあるんだな。・・・正直、英作文がない大学のほうがいいな。ほかの大学の過去問も見てみよう
数学ではマーク式だけど、対策は記述式問題とほぼ同じみたいだな
え、この大学の現代文ではこんなに漢字語彙の知識問題が出るんだ!四字熟語は学校の小テストでもやっているけど、もう一度問題集の始めから覚え直そう
このようなことに気づくことができればOK。
もう「学校の勉強と大学受験勉強の違い」に振り回されるようなことはないでしょう。
解説を読みこんでからが本当の受験勉強
学校では、解説は先生がやってくれる
学校の授業では、解説講義は基本的に授業中に行われます。
演習の時間に解答解説が配られないこともしばしば。解答は授業の最後に配る先生も多いかと思います。
また、宿題は「自分で答え合わせして提出」と指示されることはありますが、答え合わせのやり方までは教えてくれないため、「◯か×かをつけたらおしまい」と思っている人はとても多いです。
授業後には講義された内容を復習し、次に進みます。
でもそれは学校の勉強についての話。
受験勉強は違います。
「がむしゃらにいろんな問題を解く」という間違った姿勢
残念な受験生の中には、
「記号問題はカンで合うから好きだけど、記述問題はまったく何にも書けないから嫌い」
「間違ってしまったらとても落ち込んで、どうしたらいかわからなくなって、その日は勉強する気がなくなっちゃう」
という人がいます。
そういった生徒は、「とにかくガンガンがむしゃらにいろんな問題を解けば、きっと成績が上がる」という思い込みから抜け出せないのです。
でも、それは高校生の勉強姿勢としては最悪です。
当然、大学受験には通用しません。なにがいけないのかというと、「正解すればそれだけでいい」という考えている勉強に対する、あなたのその“ひとりよがりな思い込み”です。
解答解説をしっかり読むことで、間違えた原因が見えてくる!
大学受験生だけでなく、晴れて高校受験を乗り越えて、新高1生になった人たちにも、ことあるごとにこう聞きます。
分からない問題はまず参考書や辞書などで調べたの?
丸つけするときは、一問ごとに解答解説を読んだ?
中学生のときに「先生の言ったことをすべて覚えよう!」「ガンガン解け!」「どんどん進めろ」「がむしゃらにやれ」という受験勉強をしていて、さらにそれが自分の成功体験になっている高校生たちは、必ずといっていいほど、こう聞き返します。
高3生になったばかりの男子高校生くんの例をご覧ください。
えっ!?
答えを見ていいんですか!?
ただの答えじゃないよ、「解答解説」。
・・・
もしかして、答えを見ることって罪悪感ある?
そりゃそうですよ!オレ、答え見ちゃダメって小学生のときから先生にも親にも言われてきたもん!!
小学生のときは、でしょ。
ちなみに中学生でも、似たようなことを言われたことがあったってことよね。でも、今あなたは高校生なんだよ。高校生には高校生としての勉強方法があるの。
もし「答えを見ては負けだ」と、心のどこかで思い続けているとしたら、一刻も早くそれを変えること。変えない限り、いつまでもあなたは“小中学生”で、大学受験生になることはできないよ。
えー・・・
試しに、いま間違えた問題の解答解説のページを開けてごらん。
そして、普段おしゃべりするときくらいのはっきりした声で、読み上げてごらん。聞いててあげるから。
えっと・・・『〜する必要がある』の意味のneedは、動詞として用いる場合は次にto不定詞が続き、・・・え、そうなんだ!あ、たしかにこないだ小テストで出た。
・・・助動詞として用いる場合は・・・え、needって助動詞だっけ?文法の本で調べてみよう。あ、そうか、たしかに助動詞もある!
・・・次に原形が続く。それは当たり前だよな。・・・あれ?なんでオレ間違えたんだろう?
めっちゃすぐ分かる!先生、次の問題の解説も読んでもいいですか?
もちろん!
こうやって、自分で解決できることと、本当に質問したいこととを分けながら、毎日受験勉強するんだよ。
だから、勉強するときには辞書だけでなく、持っている全ての問題集や教材を使ってみて、その中で自分に合うものを探して
うっす!なんか分かってきました!!
そうなんです。
このように、基本的な内容については、皆さんはきちんと読むだけで理解できるはずなんです。
それを、解説を見るだけで読まず、該当する参考書を見もせず、丸をつけただけで一喜一憂しているから、まったく効果の出ない勉強になっているんです。
先ほどの高3男子くん、この日からスムーズに勉強が進むようになり、塾に来られない日にも家で集中できるようになりました。そして、一日に何ページすすんだかではなく、「どのくらい理解できたか」に重きを置いて、そのことに達成感を持てるようになり、勉強そのものが面白くなってきたと話してくれました。
勇気を出して、大学受験勉強への一歩を
いかがでしたか。学校の勉強と大学受験勉強の、それぞれの目的と取り組み方について、境界線が見えてきたでしょうか。
自分の進路えらびについて先生に相談することも、過去問を手に取ってみることも、解答解説を読むことも、皆さんにとってはきっと勇気のいることだと思います。
だからこそ、”大学受験対策のはじめの一歩“として、真剣に乗り越えてください。
はじめの一歩を踏み出せば、またすぐに新しい壁が出てきます。それが何かは、皆さんご自身で気づくかもしれません。もしそうでなくとも、しかるべきタイミングで、皆さんをサポートしている先生たちが指摘し、乗り越えるためのアドバイスをくれるはずです。
この繰り返しで、皆さんは、自分の望む大学受験の成功をつかみます。私たち講師は、勉強の主役である皆さんをしっかりバックアップします。一緒に頑張りましょう。
もしも塾をお探しなら
新しく塾を探している、という高校生の皆さんには、体験授業では主にこのようなことをヒアリングをしています。
- 学校の授業はどう?
- 学校の宿題はどんな内容?
- テストや通知表の成績には満足してる?
- 高校受験のときのことを思い出してみて、「あのときの自分ってよく頑張ったなぁ」って思うことはある?
- 大学でどんな勉強をしてみたい?いつからそう思うようになったかな?
えぇー質問ぜめ!と驚かないでください。
皆さんがリラックスしてたくさん話してくれた分だけ、「皆さんのために塾がサポートすべきこと」が早く決まります。
この時点で、たくさんの高校生が「実は学校の先生から指定校推薦を受けてみないかと言われてて・・・」「学校の成績はいいんですけど、模試になると偏差値が40しかなくて・・・」と、詳しい内容やさまざまな悩みを話してくれます。
これまで自分なりに勉強で苦労していたこと、自信が持てないこと、アドバイスがほしいことなどを、ありのままに聞かせてください。
弊社個人別指導塾ブレーンと創研学院(首都圏・関西・西日本)、KLCセミナー(岡山・米子)の各塾では、学校での勉強内容と皆さんがめざす「大学に合格するための勉強」との違いを分析し、合格のための学習アドバイスをさせていただいています。
受験生として目覚める“はじめの一歩”は、まず自分のことを相手に伝えてみる勇気と、「どうやったら先生たちに自分の相談したいことがきちんと伝わるかな」と言葉や話し方を工夫してみることから始まります。
では今回はここまで。また次回お会いしましょう!