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大学入試を見据えた高校1年生・2年生のための勉強方法

2022年3月29日高校生

井上文俊創研学院 くずは校

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中学校と高校の教科(科目)のちがい

現高校1年生(2022年現在)は、2022年度から導入された新学習指導要領(文部科学省が10年毎に改訂することになっています)の初年度に当たります。

そこで今回は、中学校までの主要5教科(国語・数学・英語・理科・社会)が、高校ではどのように変わるのかをみてみたいと思います。

表1.中学校・高校教科間比較

このように、高校では量・質の両方で中学校とは比べものにはならないということがわかると思います。そのため、大学進学を希望する場合は高校1年生から計画的に学習を進める必要があります

高校入試と大学入試のちがい

高校入試では、公立高校を受験する場合、内申点(評定平均)が重要となります。

もちろん、大学入試でも内申点が重要となる入試方式はありますが、以下に示す様々な入試方式があります。

表2.大学入試方式

入試方式別学習計画

表2で挙げた各入試方式についての具体的な学習計画を見ていきましょう。

パターン1:学校推薦型選抜(指定校型)

学校推薦型選抜(指定校型)は、高校1年生からの入念な定期テスト対策が必要となります。中学校の定期テストとは異なり、科目数が大幅に増えます。特に躓きやすいのが、英語、数学、化学基礎です。指定校型の学校推薦型選抜を狙う場合、同級生との勝負となりますので、内申点(評定平均)は高ければ高いほうがよいです。

ただし、本当に行きたい志望大学・志望学部が自分の通っている高校で募集されていない可能性がある点には注意が必要です。

パターン2:総合型選抜(旧AO入試)

旧AO入試では、入学志願者と大学学部の求める学生像(アドミッション・ポリシー)に適合することを目的とした、人物評価が中心の入試方式でした。しかし、旧AO入試で入学した学生の多くが、大学入学後の授業についていけないという弊害が見られたため、近年の総合型選抜は、学力試験も課せられるようになりました

特に、国公立大学(東京大学・京都大学・大阪大学など)の総合型選抜は、数学・物理・化学・生物学・地学・地理・情報オリンピックなどの出場経験を課すようになっており、一般選抜より狭き門となっています。国公立大学の総合型選抜を目指す場合は、学校の定期テスト対策のみならず、各種国際科学オリンピックに積極的に取り組んでください

一方、私立大学の総合型選抜は依然として人物評価の側面が高いですが、外国語検定試験を出願資格として課す大学が増えてきています。そのため、面接・小論文対策のみならず、英語検定などの外国語検定試験を積極的に受けるようにしましょう

パターン3:学校推薦型選抜(公募型)

公募型の学校推薦型選抜は、入試に必要な科目が少ない(大抵は2教科)ことが大きな特徴です。また、募集定員が少なく、合格者をあまり水増ししないという特徴があります。そのため公募型入試に必要な科目のみ準備し、私立大学一般選抜に必要な残り科目を疎かにしてしまった…ということが起こりがちです。この点は注意が必要です。

また、私立大学一般入試に比べて試験範囲が狭いので、公募型入試が終わったあとに、私立大学一般入試に必要な範囲をあわてて学習することのないように注意しましょう。

「総合評価型」入試方式を受験する場合は、「評定平均」の基準点が設定されていることがあるので、学校推薦型選抜(指定校型)ほどではないですが入念な定期テスト対策が必要となります。

なお、「総合評価型」のほうが「基礎評価型」よりも定員が多いのが一般的です。

パターン4:私立大学一般選抜

受験生の多くが最も利用する入試方式です。私立大学専願の場合と、国公立大学併願の2パターンに分けて解説します。

私立大学専願の場合

まず、私立大学専願の場合ですが、文系・理系とも選択科目が3教科であるのが一般的です。国公立大学入試に比べて科目数の負担が軽いですが、その分、各教科をしっかりと準備しておく必要があります。

文系・理系ともに共通科目となる「英語」の対策がカギとなります。指導していた生徒が口を揃えて言っていますが、「高校3年生になってあわてて単語の暗記をやっても間に合わへん!」は耳目に値します。

学校では、指定の単語集から毎週小テストを行っていますが、生徒たちはテスト直前に付け焼刃で臨んでいるので、小テストが終わった途端に覚えた単語の意味を忘れてしまいます。これでは、小テストの意味がありません。

特に英単語の暗記方法は、中学生時代のやり方(何度も綴りを書いて覚えるなど)では通用しません。なぜなら、覚えるべき英単語数が格段に増えるからです。英単語暗記に限らず、勉強方法は中学生時代のやり方とは決別することが重要です。

具体的には、書いて覚えるのではなく、「多頻度反復」という方法を採ります。人間は、目に触れる回数が多くなると、生死に関わる重要な情報だと錯覚して、長期記憶されます。この方法を英語だけでなく、数学の解法を覚える場合にも利用します。なお、遅くとも高校3年生の夏休みまでには、共通テストレベルの英単語を暗記しておく必要があります。

文系受験生であれば、英単語以外に英文法(ネクステ―ジなどの単元別問題集)や古文単語・古典文法を高校3年生の夏休みまでには固めておく必要があります。

国公立大学併願の場合

次に、国公立大学併願の場合ですが、私立大学一般選抜には「大学入学共通テスト利用入試」がありますので、大学入学共通テスト対策をしっかり行い、得点率8割以上を目標にしましょう

そうすることで、関西で言えば「関関同立」クラスの合格権利を得ることができるので、余裕をもって、本命である国公立大学入試に臨むことができます。

パターン5:国公立大学一般選抜

国公立大学を目指す場合、「大学入学共通テスト」と「国公立大学一般選抜」を受験する必要があります。

大学入学共通テスト

最初の難関である「大学入学共通テスト」ですが、2021年現在では、入試科目が通常5教科7科目(一部、これよりも少ない教科・科目数を指定する大学が存在します)ですが、2025年度入試、つまり、現在中学校3年生のみなさんは、「情報Ⅰ」が追加され、6教科8科目となる可能性があります。このように、国公立大学入試は、高校入試と比べて極めて学習量が多く、とてつもなく厳しい試験だといえます。

国公立大学一般選抜

次に、「国公立大学一般選抜」ですが、ここでは、前期試験について解説します。

一般に、文系では英語・国語・数学(数学Ⅲ・Cを除く)・(社会)、理系では英語・数学・理科(物理・化学・生物・地学のうち2科目)・(国語)の記述式試験が課されます。

「大学入学共通テスト」はマークシート方式の試験であるのに対し、「国公立大学一般選抜」は主に記述式試験の形式となっており、各教科で身に付けた知識をもとにした思考力が問われるという難しさがあります。このような記述式試験に対応するには、日頃から問題に取り組む際に、問題が解けないからといってすぐに解答を見ないでじっくり考えるという姿勢が必要となります。

学年別学習方法

高校1年生

英語・数学をメインに、定期テスト対策を入念に行いましょう。科目ごとに重要な点を解説します。

高1数学のポイント

数学は、授業で習った学習内容を、その日のうちに、教科書準拠問題集(中学校での学校提出物に当たるもの、よく使われている問題集は、4STEP、サクシードなど)のA問題(教科書例題・練習問題レベル)を解いて復習するようにしましょう。

また、週末には、習った範囲について、教科書準拠問題集のA・B問題(B問題は、節末問題レベル)を解くようにしましょう。

さらに定期テストの2週間ぐらい前から、教科書準拠問題集のA・B問題のうち、解けなかった問題を中心に解き直しを行いましょう。

数学で躓きやすいのは、中学数学以上に文字の扱いが増えるという点にあります。特に「2次関数の最大・最小」は「場合分け」を必要とするので、苦手意識を持つ学生が多いという特徴があります。

旧課程では、「整数の性質」という単元がありましたが、新課程では「数学と人間の活動」として統合されるようになります。しかし、この単元は入試頻出ですので、京大・阪大をはじめとする難関大学志望者は、旧課程の範囲を扱った参考書・問題集で学習をしておく必要があります

高1英語のポイント

英語は、学校でシステム英単語・ターゲット1400・1900のなどの英単語集が指定されていれば、1週間に50語を暗記するペースで日常生活に英単語暗記学習を組み入れるとよいでしょう。

長期休暇時(特に夏休み)は、学校で教科書準拠問題集以外に、参考書(チャート式数学、フォーカス・ゴールドなど)の課題が出されることがあります。これらの課題をまずは例題の解答・解説を隠して自力で解く練習をしましょう。わからない箇所があれば、その部分だけを見てその後解けるか試してみましょう。長期休暇時に前学期の復習をしておかないと、校外模試の問題に太刀打ちできなくなります!

中学英文法に不安がある場合は、高校1年生の夏休みに総復習をしておくことが重要です。「大岩のいちばんはじめの英文法【超基礎文法編】」「Mr. Evineの中学英文法を修了するドリル」などがおすすめです。

高1化学基礎のポイント

化学基礎にも躓きやすいポイントがあります。

化学基礎では、中学2年生で習った化学反応式が当たり前にように出てきます。また、「物質量(mol)」という新しい概念が出てくるので、物質量を用いた計算問題を苦手とする学生が多いです。

秋以降の学習のポイント

高校1年生の秋頃(2学期期末テスト前後)に、文理選択を行う学校が多いようです。理系選択する場合は、数学の出来・不出来がバロメーターとなります。安易に理系選択すると、数学以外にも物理という難関科目に苦しめられるおそれがありますので、慎重に選択しましょう!

高校1年生の春休みには、1月に実施された「大学入学共通テスト」の数学Ⅰ・Aの問題を、制限時間(70分)を気にせずに解いてみましょう。現時点の自分の実力を把握して、春休み中に数学Ⅰ・Aの復習をしておくことが大切です。

また、英語については、5月下旬に実施される英検準2級の受検準備をしておくとよいでしょう。英検専用の英単語集やアプリ(旺文社の「パス単準2級」や「でた単」アプリがおすすめです)で語彙力強化を図りましょう。

高校2年生

基本的には、高校1年時の学習方法を踏襲します。
文系選択の場合は、国語、特に古文単語・古典文法の暗記に取り掛かりましょう。
理系選択の場合は、物理・化学・生物の教科書準拠問題集を高校1年生の数学の勉強方法と同様の方法で取り組むようにしましょう。

高2英語のポイント

英語は、翌年に控える本格的な受験勉強にスムーズに移行するために、「英語構文」の学習をしっかりしておきましょう。学校の授業でおそらく英語構文の参考書や問題集が配布されると思います。学校の教材が分かりにくい場合は、「入門英文問題精講」などの分かりやすい参考書で自学自習しましょう。

大阪府公立高校入試などでは、英語検定2級が8割のみなし得点が適用されていましたが、学校推薦型選抜(公募型)や、私立大学一般選抜でも、英語検定などの外部資格・検定試験の取得級・スコアに応じたみなし得点が適用されます。たとえば、近畿大学では、英検2級で70点、英検準1級で85点としてみなされます。そのため、遅くとも高校2年生終了時点で英検2級を取得しておくことが望ましいといえます。

高2数学のポイント

数学は、旧課程では選択科目であった「統計的な推測」が必須科目となります。これは、現在の日本を取り巻く環境が著しいIC技術の発展により、データサイエンスやAIが脚光を浴びていることによるものです。

また、旧課程の数学Bで履修した「ベクトル」が、新課程では数学Cに移行されます。本来、数学Cは理系科目ですが、大学入学共通テストでは選択科目として出題される予定です。そのため、文系選択の生徒には数学の負担が重くなる可能性があります。理系選択の生徒に関しては、「統計的な推測」を新たに学習する必要がある点以外の変更はありません。

受験勉強の開始時期と目標について

国公立大学(特に医学部)を目指す場合は、高校2年生の夏休みからが本格的な受験勉強の開始時期と心得てください。冬休み明けの「大学入学共通テスト同日模試」などを受験し、英語(筆記・リスニング)・数学ⅠA・数学ⅡBで7.5割以上取れる程度を目標としてください

国公立大学医学部入試は、浪人生の割合が非常に高いので(定員の半分程度が浪人生である大学が存在します)、高3生になる時点で、英語・数学に関しては国公立大学非医学部レベルの実力を身に付けておくことが理想です。

京都・大阪大学(などの旧帝国大学)理系学部および国公立大学医学部を目指す場合、学校の進度にかかわらず、高校2年春休みまでに数学は高校全範囲を履修しておくことが望ましいです。その際、未習単元の習得は独学では厳しいので、学習塾や映像授業を利用しましょう。

《志望大学群別》受験勉強開始時期

表3.志望大学群別受験勉強開始時期

志望大学群受験勉強開始時期
国公立大学・慶應大医学部遅くとも高校2年生夏休み
旧帝国大学(東大・京大・阪大など)高校2年2学期
国公立大学(神戸大・大阪公立大など)高校2年冬休み
早慶上理高校2年冬休み
GMARCH高校2年春休み
関関同立高校2年春休み
日東駒専高校3年1学期
産近甲龍高校3年1学期

※「旧帝国大学」は、東京大学、京都大学、北海道大学、東北大学、名古屋大学、大阪大学、九州大学の大学群略称
※「早慶上理」は、早稲田大学、慶応大学、上智大学、東京理科大学の大学群略称
※「GMARCH」は学習院大学、明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学の大学群略
※「関関同立」は、関西学院大学、関西大学、同志社大学、立命館大学の大学群略称
※「日東駒専」は、日本大学、東洋大学、駒沢大学、専修大学の大学群略称
※「産近甲龍」は、京都産業大学、近畿大学、甲南大学、龍谷大学の大学群略称

表4、表5に、代表的な志望大学群の高校1年次・2年次の学習カリキュラム(例)を示します。自分の志望する大学群のおおよそのカリキュラムをイメージしてください。なお、使用教材はあくまでも一例です。

表4.志望大学群別高校1年次カリキュラム(例)

表5.志望大学群別高校2年次カリキュラム(例)

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