英語の比較級「than I」と「than me」の違いは? ネイティブがよく使うのは意外な形だった!
文法的に正しい表現とネイティブが実際に使う表現は時に違うことがあります。
そのような違いについて、バイリンガル講師とネイティブ講師が話し合ったことをお伝えし、実際に使える英語について考えていきます。
今回は、比較級のthanに続く単語の形にまつわるお話です。
この記事は、株式会社ヒューマン・ブレーン国際事業本部「Global Leaders」の監修のもと作成されています。
thanの前後で比較対象の格を合わせる
早速ですが、比較級を用いた次の3つの文章を読んでみてください。
① Canada is bigger than China.
② My mother gets up earlier than my father (does).
③ I can run faster than my brother can.
①はCanadaとChinaを、②はMy motherとMy fatherを比べています。
Canada is bigger than China.
My mother gets up earlier than my father (does).
このように、比較する対象はthanの前と後ろで「主格と主格」「目的格と目的格」のように合わせます。また主格の場合は、than+主格+(助)動詞とするのが原則です。
ちなみに、②のdoesのように、than+主格+(助)動詞の主格は、その後の動詞は省略することが可能と言われています。
しかし、③のようにcanなどの助動詞は原則省略しません。
I can run faster than my brother can.
ネイティブがよく使う表現は?
では、以下の3つの文章を読んでみましょう。
これら3つの文章のうち、どれが『正解』でしょう?
① She plays the piano better than I do.
② She plays the piano better than I.
③ She plays the piano better than me.
実は、3つとも『正解』ですが、文法的に正しい表現とネイティブが実際に使う表現の違いがここにはあります。1つずつ見ていきましょう。
まず、①の文章はthan+主格+(助)動詞の原則に従ったものです。
She plays the piano better than I do.
She playsとI playを比較しています。ネイティブがよく使うものの1つで、書き言葉・話し言葉の両方で使われます。
次に、②の文章はthan+主格+(助)動詞の動詞を省略したものです。
She plays the piano better than I.
She playsとI playを比較し、thanの後に続くdoを省略しています。
文法的には正しいはずですが、これを使うネイティブはほぼいません。主格に代名詞が来る場合、後の動詞は省略しない。というのも、文法的に正しいが故に堅い表現とされ、使わなくなっていったそうです。
最後に、③の文章はShe playsとI playを比較しているのに、than meとしています。
She plays the piano better than me.
おかしい!と思うかもしれませんが、ネイティブは話し言葉でよくこの表現を使います。
話し言葉ではthan+目的格で使われることが多いのです。
- 話し言葉ではthan+目的格になることが多い。
- than+主格+動詞の動詞は省略しないことが多いが、名詞(my fatherやLisa)の後は省略することもある。
※ちなみにこれは比較級のthanの後だけではなく、原級のasの後にも同じことが言えます。
- She plays the piano better than me / I do.
- She plays the piano better than him / he does.
- She plays the piano better than Lisa. / Lisa (does).
- My mother gets up earlier than my father / my father (does).
- She can play the piano better than me / I can.
- She can play the piano better than him / he can.
- She can play the piano better than Lisa / Lisa can.
- My mother can get up earlier than my father / my father can.
文法的に正しいけれど使わない表現、文法的に正しくないけれど使う表現は数多くあります。
英語だけに限らず、言葉は常に変化するものなのです。
文法的に間違っていてもそれを使う人が増えれば、それが新しいルールになっていくのですね。