【大学受験】志望校選びの極意と受験勉強の最初にすべきポイントは?“勝てる大学受験生”に!
どの高校にも必ずある、進路指導室。
本棚に大学の過去問がずらっと並び、大学の情報誌もあって、進路指導担当の先生が難しい顔をして座っている・・・こんなイメージはありませんか?
この進路指導室は、高3になってから初めて足を踏み入れるという人も多いのですが、高1生・高2生にもぜひ活用してもらいたい場所です。
高1のあいだであっても、高2以降のクラスで自分が文系・理系のどちらを選択すべきか、そして高3生で志望校、受験科目を確定する際など、進路選択の機会はたくさん出てくるためです。
今回は、大学受験を意識しはじめた全ての高校生とその保護者の方にむけて、具体的な志望校決定の流れとポイントについてお話しします。受験勉強と志望校決定についての密接な絡みについても、述べていきたいと思います。
志望校選び、進路選択の悩み
志望校選びは先延ばしになりがち!
高校生への進路指導の原則は、とにかく「まずは自分で調べてみなさい」ということに尽きます。でも、この「まず自分で」と言われたとき、彼らの頭ではこんな言葉が駆け抜けます。
自分で調べるってどうやってーーーーー?!?!?!
調べ方がわからないと、永遠にはじめの一歩は踏み出せません。大学受験生は、高校受験よりも格段に志望校についての選択の幅が存在するため、まるで迷える子羊のように、いつまでも志望校についての決断を先延ばしにしてしまうケースが多発します。
大学入試の出願時期に、慌てたご様子で当塾にご相談に来られる保護者の方は、皆さん口をそろえて、
大学受験についてはこれまですべて子どもに任せていた。勉強はちゃんとやっているように見えていたけど、まさか、出願する今になって”どの大学を受けるか、調べ方がわからない“と言ってくるとは思わなかった
とおっしゃいます。
今の受験生の悩みって?
保護者の方の世代では、
・受験勉強は自分でがむしゃらにやるもの
・学校の先生がすすめてくれた大学や学部を受ける
・たとえ浪人してでも第一志望の大学に合格する
というような傾向が強かったのではないかと思います。
でも、いまの大学受験生は、非常に多くの「選択」をくぐり抜けて、大学受験に挑まなくてはなりません。勉強方法や成績についてのことだけでも精いっぱいになってしまうような時期に、並行して「自分のめざす大学受験のしかた」を決めるべく、自分との深い対話を続けていかなければならないのです。
受験方式には一般入試か公募制推薦入試か、AO入試、指定校推薦というのもあるけど、それらはどう違うんだろう。
学校のテストもそこそこ頑張ってきてるけど、自分の評定平均でどの大学が受けられるのかな。滑り止めって、どこを受けたらいいのかな。
もし全滅したらどうしよう。浪人になるのはいやだ!きっと親も許してくれないはず…
待てよ。自分に合う大学や学部って、そもそもどうやって選んだらいいんだろう。自分って、どんな学部や学科に興味があるんだろう・・・?!
それでも受験の本番当日は刻々と近づいています。「どうしよう」と言っている時間の余裕は、実はまったくありません。
悩みを解決するコーチング
うわずっただけの「悩み事」は、せっかく時間と労力とかけた受験勉強の足をどんどん引っ張り続け、学校や塾のどんな面談も「相談」ではなくただのグチになるだけです。
そんな彼らには、なんといっても「コーチング」が不可欠。我々個別指導塾における指導の真骨頂だと考えます。
コーチングは、単純な学習相談や進路指導とは異なります。
前述で受験方式の例を挙げましたが、ほかにも受験生へのサポートは、「志望校の見つけ方」「行きたい学部の探し方」「どんな教材を使うか」「一日何時間勉強するのか」「どこで勉強するのか」など、ざっと思いつくだけでもこれだけあります。それらを網羅的にサポートできるのがコーチングです。
先生や保護者の方は、コーチングについて学んでみるのも得策かもしれません。
では引き続き、具体的な志望校決定の流れとポイントをお伝えしていきます。
最優先事項は“受験勉強のやり方”の確立
受験勉強はいつから始める?
一見すると志望校選びとは関係がなさそうですが、受験勉強のやり方を早くに確立しておくことは非常に重要です。
「志望校が決定してから勉強をがんばる」のではなく、「しっかりと主体的に志望校を決定できるようにするために、まずしっかり勉強習慣をつける」のです。
そういった意味で、塾主導の大学受験指導は、高3になる前からすでに始まっています。
高2の冬から遅くとも高3の1学期にかけては、「毎日の受験勉強のしかた」をしっかりとつきっきりで指導しますので、部活動などと両立させながら、きっちりついてきていただきたい時期です。
その目的は、夏休みに一日12時間の本気の受験勉強に挑んでいただくための訓練です。多くの高校生の場合、平日は3時間、土日は4時間以上を目安(目標)として、受験生として動き始めてもらいます。この際、科目ごとに、夏休みを迎える前に取り組み終えておくべきことをお伝えします。
受験勉強のはじめは、勉強ゼロの日を作らないこと
もちろん、受験勉強の時間を入れた毎日の生活リズムが、そう簡単にすぐ身につくような高校生はまれです。
「やるぞ!」と決意も新たにがんばって塾に来て、さっそく先生の指示とアドバイスに従ってくれるような生徒でも、2日目では早くも疲労感。4日目はたまった疲れからか、学校から帰ったら爆睡してしまったりします。それでも、5日目には少しの罪悪感を抱きながら苦笑いでまた塾に来て、講師とコミュニケーションを取りながら、ふたたび濃い自習時間を積み重ねていきます。
大丈夫、はじめは3日坊主でもいいのです。
三日間頑張れたら、それから一日休んだとしても、また元気に三日間の取り組みを始めたらいい。“勉強ゼロの日”は絶対に作らないぞと決めて、はじめのうちはそれをクリアすることだけを考えましょう。
生活リズムや環境、ご家庭での試行錯誤が大切
部活がある日には疲れて寝てしまったり、晩ごはんを食べたらどうしても寝落ちしてそのまま一日が終わってしまうようなら、ご家族に相談して、生活リズムを「受験モード」に変えるのを手伝ってもらうのも一手です。
また、毎日取り組む上で「自分が一番集中して思いっきり勉強できる居場所はどこか」を体感しながら経験値を積むことも大切。
試行錯誤しつつ、彼らは”勝てる受験生“へと成長していきます。
その過程では、気持ちのアップダウンがあったり、肉体的な疲労との戦いもでてきます。見守る保護者の方にとっては、ついつい口出ししたくなることもあると思いますが、取り組みはじめの時期だからこそ、そっと見守っていただけるようお願いします。
このように、塾と本人とご家庭が一丸となりつつ、遅くとも高3の夏までに“勝てる受験生の行動パターン”をたたきこんでから、「さぁ、あとは自分で伸びていけるね」と背中を押します。
そしていよいよ、一日12時間を目安に毎日勉強していただく、勝負の夏休みを過ごしていただいています。
志望校の決め方① 学部・学科から決める
さて次からは、具体的な志望校・学部学科の決定のポイントをお伝えしましょう。
どの工程でも、志望校選びは勉強と「並行しながら」行うことを意識しましょう。
目的意識を持って受験勉強を乗り越えていただくためにも、まずは志望学部と学科を絞りましょう。
学部と学科は後回しに決められがちですが、とくに理系では、学部と学科が決まれば、多くの場合スムーズに受験大学も決まります。そのためには学校の指導室での情報収集はもちろん、各大学のHPで情報を集め、オープンキャンパス機会をフル活用。
また、実際に大学に足を運び、どんな学びができるのかを知り、進学相談ブースなどで、直接大学の先生や事務局の方、在学生とお話ししてみることで、突破口が見つかります。
大学名だけで志望校を決めてもいいの?
一方で、「大学名=志望先」と決めつけるような志望校選びは歓迎しません。
保護者の方が受験生だった時代とは、大学や大学受験を取り巻く現状も、大きく様変わりしています。
たとえば関西圏では「とりあえず関関同立くらいは合格してほしい」との保護者の方のお声が非常に多いですし、「国公立大学でないと行かせられない」「どの大学でもいいけれど浪人だけは絶対にだめだ」というようなお声も聞きます。
でも、それはなぜですか?
そして、そのお考えの根拠はなんでしょうか。
親がここにしろ、と言ったから。
お子様は、受験勉強が進むにつれて、塾だけでなく学校でも、先生方から何度も「なぜその大学のその学部を受けるの?」と聞かれる機会があります。そのときに「親がここにしろと言ったから」「別に学部はどこでもいいけど、この大学以外は受けさせてもらえないから」と、真っ正直に答える高校生が少なからずいます。
もし、お子様の日頃の勉強の努力が実り、推薦入試を受けられるチャンスに恵まれた場合、いくら本当でも、大学の先生方にこういったことを「志望理由」として説明しても「主体性がない」とみなされてしまい、取り合ってもらえることはほぼありません。
お子様の志望大学決定においては、当然、保護者の方のお考えやご意向が反映されるべきです。ですが、大学名や偏差値をすべてとせず、学部学科についても、いちど、お子様と具体的に話し合ってみることをおすすめします。
お子様にとっても、保護者の方が自分にとって本当に意義ある大学受験を応援してくれているのだと気づける、すばらしい時間になるでしょう。
志望校の決め方② 本当の意味で自分の武器となる科目を知れ
自信ある教科の要項は早めに確認しておく
国公立大・私立大のいずれの場合にも、自分が自信を持てる教科の過去問とその配点を、早い段階でよく確認しましょう。
各大学の募集要項は、前年と同じとは限りません。廃止される科目や、配点が変更になる場合もあります。口コミの情報に頼るのではなく、しっかりと自分で調べてください。大学の情報が手に入りにくいときは、まず学校の進路指導室を活用し、進路指導の先生に丁寧に相談してみましょう。
その上で、入試本番の日から逆算して、合格のために達成しなければならない勉強内容をよく考え、毎日の努力目標を決めるわけですが、受験生はつい目先の「自分が苦手な教科」についてばかり考えることが多いです。
いわゆる「◯◯(科目名)がやばいのでそれを頑張りたい」というセリフに、その傾向がよくあらわれています。
英語がやばいので頑張りたい!
ですが、苦手を克服することと同じくらい、いえ、それ以上に、自分が武器にできる科目や単元は本当はいったい何なのか、よく考え続けてください。
ここで、2年ほど前に通塾してくれた「国語が好きで得意」という高3生の例を挙げます。
「国語が得意」…高3の10月に勘違い判明!
彼は入塾説明の当初から「国語は中学校のころからできるから大丈夫。だからやばい英語をなんとか克服したい」と言い続けました。保護者の方も同様に口をそろえ、塾では英語の受講をすることが決まりました。こうして、毎回の塾での英語の授業と自習で、少しずつ志望校に対応できるような実戦力を身につけていきました。
あるとき、面談で模試の結果や志望校の合格可能性を確認してみたところ、国語のなかで「大丈夫」なのは現代文だけで、正答率だけでいうとその次に漢文。古文はほぼ全くといっていいほど得点できていません。古文だけなら、「やばい英語」よりもはるかに成績は低かったのです。
でも、彼の志望する難関私立大学文学部の入試では、「国語」にもちろん古文が課されます。合格指導の観点で考えると、全く「大丈夫」ではありません。
このことをほんとうの意味で本人が自覚できるようになったのは、高3の10月でした。
「古文も国語なんだから、夏が終わってからでも頑張ったらできると思っていたし、学校の先生にも“頑張ったらできるようになるから“と言われたけど、頑張ってもここの大学の古文は全然解けるようにならない・・・!」とは本人談。
もちろん、難関大学受験は「頑張る」という気持ちと意識だけで解決するような甘いものではありません。
危険!「好き」や「得意」の思い込み
受験生本人も、模試成績表をしっかり見て確認すればすぐ分かったはずのことなのに、「自分の得意と苦手の思い込み」が、最終的にこのように影響してしまいました。英語は過去問の記述形式の英文和訳にもしっかりと対応できるレベルまで到達できていたのに、非常にもったいないことです。
彼は出願時期になって、古文が大きな要因のひとつとなって、受験直前で志望校変更をしました。私立大文学部という点では同じでしたが、ほかの大学の、国語が現代文のみで古文が課されない入試日程に変更したのです。
これが大学受験において受験生がよくであう現実のひとつです。
このように、表層的な成績分析や受験勉強の取り組み、本人の思い込んでいる「好き」や「得意」に、ときに大きく足元をすくわれることがあります。
先述の彼は、変更した先の志望校には無事に合格しました。自分の考えが甘かったと前向きに受験勉強を振り返り、「もう大学や就活では、自分で何かが得意だと思い込むことはやめよう」とふっきれた様子で話してくれました。
受験経験はこうして、本人の「人生の教訓」となることもありますから、今回のようなケースでも、彼の選択と結果のすべてを否定してはなりません。
でも、「もしあのときもっとこうやって勉強していれば・・・」という心残りは、もちろん無いほうがいいでしょう。そのためには、まず日頃から受験に必要な科目すべてを勉強する習慣をつけ、過去に出題された問題の傾向や、いまの自分の模試の成績表の含めた「志望する大学に関しての情報」と照らし合わせながら軌道修正していく必要があります。
満足のいく志望大学・学部選択を
”勝てる大学受験生“の志望校えらびについて、いかがでしたでしょうか。まずはさっそく、自分の興味のある学部学科を見つけてみることをおすすめします。
どの高校生にも、そしてどの保護者の方にも、高校受験や中学受験でのご本人の成功体験や、受験勉強へのイメージがすでにあることと思います。
ですが、大学受験においては、みなさんのその「成功経験」「イメージ」が通用しない場合があります。そのひとつに、土台となる受験勉強と本気の対策ができている人でなければ「志望大学・学部を満足に選ぶことができない」という現実があります。
受験生ご本人が本当の意味で充実した受験勉強期間を過ごし、本当に進学をのぞむ大学の学部学科に合格していただくべく、塾でお手伝いさせていただきます。まずは、合格する勉強方法を身につけることから。勉強に並行させて、自分にぴったりの志望校を見つけていきましょう。