勉強と部活、両立のコツは?文武両道の生徒の志望校選びと能力を引き出す方法
今回は「部活動」と「受験勉強」を両立するためのポイントを、一人の生徒のお話を通じて紹介したいと思います。
さて皆さんはタレントの芦田愛菜さんをご存じでしょうか?
彼女は数々の映画やドラマに出演し、小柄ながらもいつもパワフルな演技で非常に人気が高い女優です。そんな彼女は小学生のころ中学受験を経験し、いわゆる最難関といわれる中学に複数合格し、最終的に都内の有名大学の付属校に進学されたそうです。
一般的に難関校・有名校といわれる学校に合格するためには、小4のころから専門の受験塾に通い、毎日平均4時間は学習しなければなりません。
芦田さんは多忙な芸能活動の中に受験勉強を組み込むことができ、モチベーションが高く頑張りやさんであることはもちろんですが、持っている能力も非常に高かったのではないでしょうか。
私が所属している創研学院藤沢本町校では地域柄、高校受験が盛んです。
当学院に通っている中学生の皆さんは、勉強や部活動、そしてお友達との付き合いなど、芦田さんに負けないくらいすべてのことに全力で取り組んでいます。
そこで今回は、「学外の活動であるスポーツのクラブチーム」と「受験勉強」を両立していた一人の生徒のお話を紹介し、私たちがどのように指導やサポートしていたかお伝えします。
サッカークラブと勉強を両立したAくん
その男の子(Aくん)はサッカーJリーグチームのジュニアユースに所属していました。
週5日、藤沢から横浜市保土ヶ谷区にある練習会場に足を運び、高校生になっても所属チームのユースメンバーとして活躍することを目標にして日々励んでいました。
そんな彼から創研学院藤沢本町校に問い合わせがあったのは中1の夏でした。
明確な目標と自分自身の分析ができていた
その時の彼は、「サッカー優先で練習が休みの日に通塾し、定期テストで納得のいく点数を取りたい」と学習に対する目標をしっかり持っていました。
さらに「僕は友達となら一緒に頑張れるタイプ」と自分自身を明確に分析していました。
そこで、練習の無い日には集団授業を受講、それ以外の日は個別指導で残りの教科を埋めていくことにしました。
- 学習目標を具体的にしっかり持っていた
- 自分自身がどうすれば意欲的に勉強できるか、明確に分析できていた
→ 塾で彼に合わせたスケジュールやカリキュラムを組むことができた
ペースを崩すな!バランスを崩すな!
特に目を見張ったのは、毎週土曜日はサッカーの練習が終わってから通塾していた点です。
さすがにウトウトとしているときもありましたが、本当に寝てしまうことはなく、最後までしっかりと受講していたのが印象的でした。
また、時期によっては集団授業の前に個別指導を受講するという、「休憩時間は本当にあるの?!」と我々が心配するくらいのハードなスケジュールをこなしていました。
創研学院では定期テストが近づくと日曜日にも補講が入ってくるのですが、Aくんは練習があるのでほとんど出席できません。そのため、やはり良い結果が出ない時期もありましたが、
「君は限られた時間の中で最大限の時間を勉強に割いている。ここで無理に学習量を増やすと日常生活のバランスが崩れ、どれもこれも中途半端になる。
もしかすると体調を崩して大好きなサッカーの練習を休むことにもなりかねない。今はペースを崩すことはない。ここが頑張りどころだ!」
と私たちも叱咤激励をつづけました。
私たち学習塾の立場であれば、勉強量を抑えろという提案は非常に心苦しい決断です。
文武両道の生徒の志望校選び
志望校選択のポイントは人それぞれ
さて、ここで一般的に志望校を選択するときの決め手となるポイントを考えてみましょう。人それぞれ異なりますが、例えば以下のような点が挙げられます。
・制服がかわいい
・温水プールがある
・建物がきれい
・食堂のメニューが多い
・やりたい部活がある
・文化祭が楽しそう
・留学先が充実している
・大学合格実績が良い
・英会話の授業がある
・単位制の学校で個性的な講座がある
・土曜日の補習が充実している
・年間のシラバスが自分に合っている
多くの生徒は外見から入り、その後は高校生活や将来への憧れを思い浮かべます。
さらにしばらくすると、入学後のイメージがわき、学習面からも志望校選択の材料を得るようになります。
また、「自分の学力と比較し、十分余力を持って合格できる高校を選ぶ」という生徒もいます。(とくに女の子に多い印象です)
このようなご家庭は、「入学後に学習面で苦しむことなく、部活や習い事を…もしかしたらアルバイトもこなしつつ、上位の方で安定した成績を取り、ゆくゆくは指定校推薦をねらう」という考えのようです。
志望校は自分の意志で決める!
さて、Aくんはどうだったでしょうか?
中3の秋、Aくんから「ユースに上がれる」という嬉しい報告を受けました。
そこから志望校を具体的に探すようになったのですが、まずはサッカーが優先のため「自宅と練習会場の中間の立地にある公立高校」という点に重きを置きました。
また「ユースのあとはJリーガーとしてプロ契約を結びたい。しかし、夢がかなわなかったら大学でサッカーを続けることになるので、進学実績の高い高校に進みたい。」と、その先も見据えた新たな目標もできました。
以前、とある私立高校の先生と懇談したとき、その先生が「近いからという理由でうちの高校を選ばないでください」とおっしゃいました。
先生の意図は分かります。「うちの高校でやりたいことを見つけてから入学してほしい」との願いがあったのでしょう。しかし、Aくんはその先生の考えとは異なり、「交通の便」が大きな決め手になったようです。
志望校は自分の意志で決めることが大切です。そしてその決め手も人それぞれです。
Aくんは、先を見据えた目標を持てたことで、周囲に流されることなく志望校を決めることができました。
サッカー少年だけではない!大きな未来をもった子どもたち
明確な目標設定が大きな成果につながる
受験に向けて例えば以下のような作戦を立てたとしても、実践するのは大人でもなかなか難しいものです。
- 授業中にまだ解き終えていない課題が残っていれば「休憩時間でも課題に取り組む」
- 長時間家庭学習をしたときに睡魔に襲われた場合「15分に絞って仮眠をとる」
しかしAくんと出会って改めて感心させられたのは、体育系・文科系にとらわれず、確固たる目標を持った生徒の「集中力と時間配分のメリハリ」は、目を見張るものがあるということです。
私たちは、数多くの子どもたちと接しています。
「将来は電車の運転手になる!」と夢を持った生徒は、本人のかなり高い学力とは関係なく、電鉄系会社の就職率が良い高校に進学し実際に就職しました。
別の男の子は、「俺は勉強が苦手だ。将来は料理の職人を目指すから、フード・コーディネイトの講座がある○○高校に行きたい」と宣言し、本当に夢をかなえ進学しています。
またJRの駅ホームに大きな看板広告が掲載されるようなアイドル歌手だった女の子は、芸能コースがある私立高校ではなく、「地元が好き」という理由で近隣の難関の公立高校に進学しました。
Aくんはスペシャルではありますが、私が身近に接する生徒の皆さんもスペシャルであります。
「高校に入学してから何がしたいのか」「将来はどのような自分になりたいのか」というような、「未来の自分から逆算をして目先の目標(志望校)を決める」と様々な面で大きな成果を上げることができます。
「親に言われたからこの学校に進学する」「友達が受験するから私もそこに進みたい」…これでは本人の能力を最大限に引き出すことができないのではないでしょうか。
その後、Aくんは…?
今回話題に上げたAくんは、入試直前に怪我に見舞われ、幸か不幸か勉強に集中することができました。そして、残り1か月でラストスパートをかけ、結果は見事、第一志望校に「合格」!
我々スタッフも他の皆さんの合格と同様に喜びをかみしめました。さらに卒業時の通知表による内申点は、入塾前より9ポイントアップというおまけもつきました。
そして今、Aくんはその世代のサッカー日本代表のキャプテンで頑張っています。
所属チームでも年代を超えてトップチームに招集され、皆さんも知っている元日本代表の選手たちに揉まれ鍛えられているそうです。
そんな忙しい中、数か月に一度は必ず創研学院へ顔を出してくれ、自身の状況やプライベートな話をしてくれるのは嬉しい限りです。生徒の皆さんが頑張るから、私たちもそれ以上に頑張れます!
後日談
私自身も正直驚いておりますが、後日談をご紹介いたします。
この小さな校舎から文武両道を着実にこなした生徒2名がJリーガーとなりました。先に紹介したAくんはユースを経て昨年プロ契約を結びました。
また、偶然にも同じ中学校出身で一学年下のBくんもこの春からJリーグのピッチに立つことになりました。Bくんは高校選手権で話題に上がり、もしかしたら皆さんも知っている選手かもしれません。
この2人に共通して言えるのは、好きなことを全力でやっているとその取り組む姿勢が学習面にも活かされるということです。確固たる目標があると、「辛いことでも頑張れる」「時間配分のメリハリ」「時期による学習量の強弱」などさまざまなプラス面がもたらされます。
私たちはこれからも部活や学外のクラブチームで頑張る皆さんを応援します。