読書と読解の違いとは?国語の点数が上がる「客観的な読み方」とは?
前半で本を読むメリットについてお伝えし、後半ではそれが読解の点数には結びつかない理由と、読解問題を解く上で重要な読み方についてお伝えします。
読書のすすめ
テレビなどで出てくるご家庭を見ていると、「あれ、この家、本棚がないなあ…」と思ってしまうことがよくあります。
本は手の届く場所に置こう
私は本を積極的に読ませることをオススメしています。お子様が興味のある本、興味を持ちそうな本を是非ご自宅に並べてみてください。
本は本棚に立てておくだけでなく、リビングなどにわざと散らばせておくのも効果的です。
辞書、地図帳、その他興味のある分野の本など、手に取りやすいところにわざと置いておくのです。それで手にとって見てくれたらラッキー、見なかったとしても、いろんなところで触れる機会がある、少なくとも目に入っている、という経験の蓄積が大事なのです。
本は大きな可能性を秘めている
実際には興味を持たなかったり、全く読まなかったりする本もあるかもしれません。でも、それはそれで構いません。本は「知的インテリア」という側面もあるからです。本棚に本が並んでいるだけで知的空間を演出します。普段ないものが「そこ」にあるだけでも価値があります。
それだけ本は非常にコスパ(コストパフォーマンス)の高いのものなのです。たったの千円弱で、「歴史を動かした思想」に触れられたり、「人の人生を変えてしまうくらいの感動」に出会えたり、本は大きな可能性を秘めているのですから。
「読書」と「読解」の違い
さて、それだけ可能性を秘めている読書ですが、国語の読解問題を解く力となると話は別です。読書と読解、何が違うのでしょうか?
読書で大切なのは「主観的な力」
国語の点数を上げるためには、まず、日本語のストックを頭の中に作っておく(語彙力をつける)ことが重要です。本を読むことはその日本語のストックを増やすことにつながります。読書で日本語のストックを蓄えた上で読解の練習をすると、効率良く学習することができます。
しかし、読書が直接的にテストの点数に結びつくかと言えば、必ずしもそうではありません。それは、読書が主観的な行動だからです。
「読書」では、自分の好きなように解釈してかまいませんし、時には主人公に感情移入して読んでも問題ありません。むしろ、そのような自由な発想や主人公への共感こそが、読む者の心を惹きつけてやまない理由なのでしょう。
つまり、「読書」は「主観的」であり得ます。
読解で大切なのは「客観的な力」
一方で、国語のテストのような「読解問題」は、「主観的」であることを排除し「客観的」に読まなければなりませんし「客観的」に答えなければなりません。
「客観的」に読むとはどういうことでしょうか。
それは、文章に書いてあること以外の事象を、究極に排除するということです。あくまで、「文章」に書いてあることだけが問題を解く上で必要なのであって、一般的な常識や知識は、「読解」をしていく上で障害になる場合があります。
文章に書いてあること以外の「一般的な常識や知識」などを極力排除し、文章中に書かれている事柄だけを使って問題を解く力
なぜ、筆者が文章を書くのかと言えば、世の中には一般常識やら様々な意見があるが、自分の考えを聞いてほしい、自分の意見が正しい、と思うから書いているのです。にもかかわらず、世の中の一般常識にとらわれて読んでいては、正しい読解はできません。
実際、記号選択問題では「文章内には書いていないが、一般的に考えられていること」を誤答として作られているものもあるので、注意が必要です。
では、「客観的」に読むために具体的にどうすればいいのでしょうか。
文章を攻撃的(積極的)に読む
問題文に目印をつけながら読む
これから紹介する論説文、物語文に共通して大事なことは、ただ漫然と読むのではなく、「線をひく」ことや「四角やマル」のしるしをつけることで、文章に対して攻撃的・積極的に取り組むことができるということです。
何も問題文に記入することなく読んでしまうと、どうしても飛ばし読みになってしまいがちです。目印をつけることで、そのようなことを減らすことができます。
音読をする
普段から国語の勉強をするときは、音読をすることをお勧めします。音読をすると、誤魔化しがききません。
塾でも、あまりに飛ばし読みをする生徒に対しては、線を引きながら読むように指示する場合もあります。
説明文・論説文を客観的に読む方法
筆者の主張が出やすい対比・類比表現
次の二つの単語と二つの文章表現に注目するだけで、文章の見え方が変わってきます。
- 接続語
- 指示語
接続詞を□で囲む、指示語については○を付けるなどして、文脈を把握しやすくします。
- 対比
- 類比
人がなぜ文章を書くかというと、自分の考えを世に知ってほしいからだと先ほど述べました。そこで、より自分の意見を強調するために、「自分の意見」を「他人の意見・世の中の考え」と対比させることがよくあるのです。
また「対比」するだけでなく、自分の意見を、言葉を変えて繰り返し述べます。つまり、「類比」するのです。
問われやすい抽象的表現
次に、対比表現や類比表現を、「具体的な表現」「抽象的な表現」に分けて読みましょう。
- 具体的表現
- 抽象的表現
実際に問題を解く際は、記号選択問題であれ、記述問題であれ、「抽象的」表現を答える問題が基本です。したがって、「具体」と「抽象」を分けられなければ、基本的には正答にたどり着くのは難しいことになります。
このように、筆者に主張が表れやすい「対比」「類比」に着目し、それらを「具体」「抽象」に分けていくことにより、筆者の意見をより的確に、客観的にとらえることができるようになるのです。
物語文を客観的に読む方法
次に、物語文について学んでいきましょう。
登場人物の心情・気持ちを逃さない
物語文で一番重要になってくるのは、登場人物の「心情・気持ち」です。
- 直接的表現
- 間接的表現
心情といっても、「悲しい」「うれしい」のように直接的に書かれているものは分かりやすいですが、同じ「悲しい」でも「大声を上げて泣いた」であったり、「うれしい」という気持ちも「にっこり笑った」のように、動作として間接的に表現されている場合があります。
そういった間接的表現を逃さないことが大事です。そのために、直接的であれ、間接的であれ、心情・気持ちを表している表現に、線を引きましょう。
気持ちの原因とその後の行動を把握する
大事なことは、気持ちに線を引くことだけではありません。ある気持ちになるためには、なにかしらの出来事が原因としてなければなりません。また、ある気持ちになったら、何か動作・行動を起こします。
原因(出来事) → 心情・気持ち → 動作・行動
このように、原因があって、ある気持ちが生まれた、そして行動を起こした、という流れを追って読み、線を引くということを習慣付けましょう。
登場人物の性格を表す表現
登場人物の「性格」も重要です。
こちらも「心情」と同様に、「優しい性格」や「短気な」のように、直接的に表現されている場合もあれば、「困っている人がいたら放っておけない」や「すぐに怒る」のように、間接的に表現されている場合もあります。
- 直接的表現
- 間接的表現
まとめ
国語テストの点数が悪くても、必ずしもそれが「国語が苦手」「国語力がない」というわけではありません。小さいときから、本に囲まれた生活を心がけて、お子様とたくさん話をしてあげてください。そうして日本語の文章のストックを頭の中に蓄え、その後、正しい問題への取り組み方を身に付けることで正しく国語力を向上させていくことができるでしょう。