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【子どもネット依存】ゲームやYouTubeで成績低下…悲劇をなくす最も簡単な解決策とは?

生活習慣,家庭学習,小学生,学年別 勉強法,中学生,高校生勉強習慣,家庭学習

試験が終わると、成績向上の兆しが見られなかったお子様が、カウンセリングに来室されます。
面談では保護者の方から「ゲームやYouTubeに夢中で、勉強しない」という悩みをよくお聞きします。

ここで少し見方を変えて、比較的学習がスムーズに進んでいるお子様の現状を想像してみましょう。

順調に学習できていても「勉強よりもゲームやYouTubeの方が楽しい」と思っているお子様は少なくありません。

よって学習が順調に進まない原因を他の要素でもう少し細かく考えてみる必要が出てくると言えます。

ここからは実際のカウンセリングの場で行ったアプローチをご紹介しながら見ていきたいと思います。

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お子様が悩んでいる「不調」について洗い出してみる

一番簡単なアプローチは、「お子様の家庭での学習行動のほころび」に注目して、ケアすることです。

いくつかの事象をチェックリスト式に挙げてみました。

お子様に当てはまるもの、ありませんか?

□「暗記学習」の手段が「ひたすら書いて覚える」の一手しかない

□夏休みなどの長期宿題など、まとまった学習目標が期限通りに終わらない

□定期テストの目標点について、得意科目も苦手科目も何も考えず、同じ目標点(多くの場合「百点満点」)に設定してしまう

□学校から配布される「定期テスト前学習計画」がなかなか仕上がらない

□宿題未提出を学校の先生に指摘されたとき、宿題量など何も考えずに「がんばって明日提出します」と答えてしまう

お子様の学習行動には、学習の状況や学習の対象などの環境の変化によって「ほころび」が生じます。数学であれば、今まで計算中心の単元を学んでいたが図形の単元に入った、などの変化です。

成績が比較的順調に伸びているお子様の多くは、このほころびを学習の仕方の微調整で修復します。一時的に学習時間を増やす、暗記物の覚え方を変えてみる、などの工夫を行って対応します。

しかしその修正ができないと、「学習が進まない」「飽きる」などのトラブルが生じるようになります。その結果、トラブルで生じたストレスを和らげるために、ゲームやYouTubeの時間を増やすことになります。

あるアプローチ~学習のサイクルを起動する~

ここからは、実際のお子様へのアプローチ例をご紹介します。

①お子様の状況を確認

ある中学生のお子様は、学習上のストレスで1日30分だったゲームの時間が2時間になりました。

その後成績が低下した結果、家族会議で「ゲームをやめて次の定期テストで再起する」という目標をたてました。

しかし成績は上がらず、お子様が通知表や成績を家族に見せなくなり、家族との会話も少なくなっていきました。

②改善策実行の前に「30分のゲーム時間」を復活

ここでお子様の学習サイクル改善策を実施する前提として提案したのが、「30分のゲーム時間」の復活です。

まず必要なのは、学習時間の短縮や学習量の低下への対策だけでなく、生活の質の向上への対応です。1日30分のゲームは決して多いわけではなく、お子様の気持ちを安定させる役割が期待できました。

大切なのは「特に楽しいと思っていない」不要なゲームの時間と必要なゲームを切り分けることです。

つまり勉強以外の生活の質の向上で、学習が進まないストレスを解消する仕組みを確保し、学習開始の契機を作る方針です。

③「学習改善策」の提案

次に、学習環境の徹底した見直しを提案しました。

【現状】学校の授業で新しいことを学んでも何もわからず、その日の宿題ができない

【分析】自立学習が困難。学んだことを復習し、演習して理解するサイクルが必要

【対策】回らなくなった学習サイクルを回すために、学校の復習・宿題の中で注力するべき学習事項を絞り込む

次に、これらをどのように実行していったかをご紹介します。

④「(学習)作戦」の実行と評価 ~現場で何をおこなったか~

ここからは、学習サイクルの確立の一部をご紹介します。(実際はもう少し詳細にわたる分析・アプローチが存在するのですが、改善サイクルを明示するために細部は割愛させていただきます。)

【サイクル項番❶ 学習対象の絞り込み】

学校で習っていることがわからない、という深刻な状態なので、お子様が実現可能な学習事項の絞り込みを行い、その学習内容・実行する時間・その他の注意事項などをまとめたものを、お子様と共有し、「(学習)作戦」と名付けます。

【サイクル項番❷ 「(学習)作戦」の実行と記録・評価】

「作戦」をお子様に実行してもらい、実行にかかった時間もお子様自身に記録してもらいます。そして今回の作戦がお子様にとって「成功」だったか「失敗」だったか評価してもらいます。はじめのうちは感覚的な評価になることはわかった上での記録と評価です。

実は、この「記録・評価」の行為がこの後のサイクルで欠かせないものになります

【サイクル項番❸ 次の「(学習)作戦」の選択】

次の学習内容の打ち合わせでは「どの学習方法で・どの学習事項を・どれぐらいの時間をかけて」の原案2~3案を、各案のメリット・デメリットとともに、お子様に示します。

そして、どの案を選ぶかを「これまでの学習記録」をもとに、最終的にお子様に決めてもらうのです。

もちろん最初のうちは、どう決めていいかわからないので、「よくわからないけどA案を選ぶ」といった選択になります。そもそも経験がない段階で「根拠」をもって未来を選択する「自主性」の発揮は大人でもたいへんなことです。はじめのうちは「よくわからないけど」の選択でかまいません。

そして選択した案を実行して、終了したときにまた「記録・評価」する。

これを繰り返していくうちに、次の作戦を選択する際に、前回の「成功」「失敗」が印象に残った状態でさらに新しい作戦選択に入る。「前回これがうまくいったから・・・」「前回これでうまくいかなくて痛い目にあったから」で案を選択していく。

こうしてたくさんのサイクルを経験していけば、きっとお子様に求められている「自主的に勉強する」の一部つまり、「自分のやることを自分の経験から選択してすすめていく」ということが少しずつ浸透していくことになります。

⑤「(学習)作戦」を積み上げて得られた成果

今回の中学生のお子様は、苦手であった数学の学校のテストの成績が30点ほど上がりました直接指導はしていない他の教科も軒並み5点~20点ほど点数が上がりました。

ただ、中学生において学校の定期テストの点数を上げることは、「学習サイクルの確立」を伴わない学習方法、極論をいえば、たとえ強制的学習であっても実現可能だと考えています(よほどの難関進学校の特殊な定期テストを除きます…)。

お子様の目標が中学校や高校で主席の成績をあげることなのではなく、大学受験に必要な学習において豊かな知識とそれを学ぶ術をもつことだと考えるのならば、学習サイクルの経験を積んでいくことは、有意義な経験であると言えます。

⑥「(学習)作戦」とゲームやYouTubeの魅力に共通する点

お子様が「自主的に学習する・しない」という言葉を使って私たち大人は、学習の仕方について論じることがあります。しかし、それは大人の側の観点なので、お子様にとってどのように見えているのかを最後に考えてみたいと思います。

お子様がゲームやYouTubeを面白いと考える要素は、ゲームのキャラクターやYouTuberが「何かをやってみて」「成功・失敗し」「そこから喜怒哀楽いろんな感情を抱く」という流れ・ストーリーの中にあると思っています。

お子様の勉強も同じで、「自分でこれをやってみよう」と自らが判断する→やってみる→失敗・成功する→苦悩する・喜ぶ→次のステップの選択をする→見えない未来に不安を感じながら自ら進むというサイクルを繰り返していくうちに、さまざまな感想をもち、さらに自分が次にどのような展開を迎えるのか・・・ということが気になるようになります。

お子様が「勉強がおもしろい」と言っているのが、勉強する中身のことだけではなく、むしろ「自身の取り組みに興味を持っているからだ」ということになれば、挫折ですら自分の力に変えていくことができるでしょう。

挫折こそ「自主的」学習サイクルを築くチャンス!

私が初めてのお子様と「(学習)作戦会議」を開くときに伝えることが2点あります。

①勉強する内容自体がおもしろい、ということは、まずありえないのが当然

→「勉強が好きになる」という将来に期待してあとでがっかりしないようにしよう

②「勉強に取り組んでいる自分」を最高のコンテンツにしよう

→成功・失敗した自分を見て、「次の展開はどうなるの?」と言う風に気になっていく。勉強の主人公はまぎれもなく、自分自身だと実感して取り組むことが大切です。

学習塾にはいろいろなタイプがあります。

お子様の学習がうまくいっていて、さらなる学力をお考えという状況であれば、お子様のサイクルよりも、純粋に学習方法などの技術的な側面に特化した学習塾を選択することもあるでしょう。

しかし、現時点の成績・学力に関わらず、お子様がこれまで当たり前のように行なってきた学習サイクルが、何らかの原因で通用しなくなってしまったときには、ゲームやYouTubeの時間が増える、その他の兆候が出始めます

お子様の性格によっては、「ゲームやYouTubeじゃなくて、もっと勉強をがんばれ」という叱咤激励が奏功する場合もあるでしょう。

しかし、それでもうまくいかないとき「がんばりが足りない」と焦るのではなく、その状況を観察してお子様に適した学習法を検討してみるのもひとつのやり方だと思います。

学習塾の体験授業を通して、お子様の新しい成長のサイクルを模索されるのも一つの選択肢だと思います。

悩めるお子様が「自分にあった学習法」に出会えますように、そして未来に豊かな選択肢が描けるような成功や失敗の経験をたくさん積むことができますように。

荻田 健史          学習塾kulumo(クルモ)岡山駅前校 チーフ・アドバイザー

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この記事を書いた先生
マナブレイン 編集部
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